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カフェ店員とオリンピアン。銅メダルに輝いたスノーボード女子ハーフパイプ、冨田せな(22)(アルビレックス新潟)には二つの顔がある。自分と、5位だった妹の冨田るき(20)(チームJWSC)を支える両親の経済的負担を減らそうと、アルバイトをしながら練習に打ち込んできた。

共働きで会社員の両親は、ハーフパイプに夢中になった小学生の姉妹を各地の大会に連れて行った。海外大会に出場し始めると、1人数十万円が必要になることもあった。
母の美里さん(45)はある日、2人に打ち明けた。「遠征費を用意できなかったので、銀行からお金を借りた」。その後、大会ごとの費用を包み隠さず伝えている。
冨田せなは、高3で平昌五輪に出場。地元・新潟県妙高市のスポーツ専門学校に進学すると、色々なアルバイトを始めた。競技団体の強化指定選手になり、補助金が受けられるようになったが、「両親に少しでもお金を払いたい」と考えた。
遠征の少ない4~9月は、市内のスキーリゾートのカフェでコーヒーを入れたり、レジ打ちをしたりする。ゴルフ場でも働き、1週間連続でアルバイトをすることもある。妹も牛丼店で働いており、姉同様、給料の一部を両親に渡す。
10日の決勝で、冨田せなは横3回転を見事に決めてメダルをつかんだ。試合後、「とってもうれしい。五輪に出るのにたくさんの人に支えてもらったので、感謝の気持ちを伝えたい」と涙ぐんだ。(竹田章紘)
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