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BSとネット動画
そのあたりを考慮して、砂川教授は民放連に「BS勝負」を提案する。

「地上波生中継は潔くNHKに任せてしまい、民放は五輪中継一色のBSチャンネルを設けて、NHKBS1の両チャンネル(101、102)と張り合ってみてはどうでしょう。NHKがBSでやっているのと同じくらい濃度の高い五輪チャンネルを作ることは、民放にも可能な契約になっているように思います。BSで視聴者に喜ばれた種目は、地上波で高視聴率の見込める時間帯のバラエティー系五輪番組に引き立てて、盛り上げていくわけです」
「プロ野球中継の変遷を、ちょっと考えてみてください。かつて中継の主役だった地上波テレビでは番組が減り、現在は主に高齢者層がBSテレビで、若い視聴者はインターネット動画で楽しむようになってきました。そういう視聴スタイルの実現を、オリンピックでもめざす手はあるでしょう。夜中に五輪中継をつけっ放しておくという視聴スタイルとBSは相性がいいし、ネット動画は『見逃し配信』といった利用法があるので時差に強いメディアと言われています」
五輪のネット動画は現在、NHKが公式サイト内の「北京オリンピック」コーナーに並べ、民放連は「gorin.jp」というサイトを設けて視聴者に提供している。今後、欧米開催の五輪では、地上波視聴率よりむしろ両動画サイトの再生回数で、NHKと民放が競い合うようになるかもしれない。将来の「主戦場」であるならば、北京大会で両サイトの動画が記録した再生回数も明示してほしいところだが、NHKは「公表していない」という。一方、民放連は現時点で再生回数をまとめておらず、発表予定についての明確な回答も避けたが、東京五輪後は再生回数を公表している。今回も、どうやら数字を伏せるつもりはなさそうだ。
地上波テレビ放送以外で勝負する方法を工夫すれば、オリンピックで「得するのはNHKだけ」という嘆きが、民放側から上がらなくなる時代が訪れるだろうか。
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