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特派員リポート

冬ソナの聖地、五輪の恩恵受けるも…

 冬のソナタのロケ地を訪ね、初恋の思い出を感じてください――。「ドラゴンバレーホテル」の特集パンフレットは、そう呼び掛けている。表紙の写真には、「ヨン様」ことペ・ヨンジュンと「ジウ姫」とうたわれたチェ・ジウ。雪の木立でほほ笑みを浮かべ、手をつないで歩いている。

報道陣や欧米からの観光客でにぎわう

  • ドラゴンバレーホテルの玄関先にあるペ・ヨンジュンとチェ・ジウの等身大プレート(9日)
    ドラゴンバレーホテルの玄関先にあるペ・ヨンジュンとチェ・ジウの等身大プレート(9日)

 ちなみに、チェ・ジウは、平昌パラリンピックの聖火リレーに参加している。今回、報道陣の多くが、平昌の市街地から車で15分ほどで行ける竜平(ヨンピョン)リゾートスキー場の周りにある宿泊施設「ヨンピョン・ビラ・コンド」に泊まっている。竜平のスキー場は、パラリンピックでは競技会場になっていないが、先月のオリンピックではアルペンスキー競技の一部が行われた。ビラ・コンドに隣接するドラゴンバレーホテルも、五輪期間中は盛況だったという。

 オリパラ開催以前に、竜平は「冬のソナタ」ゆかりの地として、脚光を浴びた。ご存じない世代のために説明しておくと、2004年に放映されたNHK地上波の連続ドラマで、主婦を中心に人気を集めて韓流ブームの先駆けになった。ロケ地としては、竜平からそう遠くない大きな観光地・春川(チュンチョン)の方が有名。しかし、「1回の放送枠に3~4度は別れや愛の告白がある」とまで言われた見せ場だらけの冬ソナだけに、竜平で撮影された名場面も、決して少なくない。

 ドラゴンバレーホテルのバーで、二人はゆず茶とココアを飲んだ。ホテル近くから、スキー場のある山の頂上を結ぶゴンドラリフトに揺られ、二人は心を通わせた。そんな「冬ソナの聖地」を巡礼する日本人観光客で、10年前は大にぎわいだったという。山頂のレストランがある建物「ドラゴンピーク」の管理人は五輪前、読売新聞の取材に「五輪をきっかけに、また日本人が竜平に来てくれればいいけれど」と、期待を寄せていた。

 しかし――。

 パラリンピック開会式を翌日に控えた3月8日夜、ドラゴンバレーホテルのバーを訪ねた。ほかに客は1組だけと、すいている。カウンター越しに、バーテンダーが振り返ってくれた。「五輪期間中は、満席でしたよ。イタリアとカナダ、ドイツのお客さまが中心でした」。私が注文した「竜平オリンピック」はオリパラ向けのオリジナルカクテルだといい、「よくご注文をいただいています」と強調。ただ、苦笑いしつつ、こうも話した。「日本からのお客さまは、あまりいらっしゃいませんでしたね」

日本人は少なく、昔日のおもかげは 何処 ( いずこ )

  • ドラマのワンシーンを彷彿させる竜平スキー場周辺
    ドラマのワンシーンを彷彿させる竜平スキー場周辺

 ホテルのフロントの女性も言う。「五輪期間中、ホテルには日本のお客さまもおいでになりました。冬ソナのロケ地だと記した館内の説明やパンフレットをお読みになる方もいらっしゃいました。ただ、あのドラマも随分以前の放映です。今はロケ地を訪ねる目的でホテルにいらっしゃる方は少ないですし、五輪関係のお客さまが冬ソナのロケ地も楽しんでいるようには、私には見えませんでした」

 8日は、雪が降っていた。ホテルの玄関先にあるヨン様とジウ姫の等身大プレートや、日本語で書かれた冬ソナの看板の周りにも積もり、辺りの木々の雪化粧と併せ、ドラマをほうふつとさせる光景だった。だが、その後は竜平にも暖かい春が来て、雪はほとんどなくなった。近くを歩くたび、看板や等身大プレートの周りに、記者は目配りしているけれども、足を止めて見入る人を自分以外には見かけない。時は流れた、ということなのか。

(メディア局編集部・込山駿)

2018年03月15日 18時05分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

日本のメダル獲得数

日本人メダリスト
  • 金:3
  • 銀:4
  • 銅:3

3月18日14時現在