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    特派員リポート

    新田佳浩「あきらめず、自分を出し切った」

    • 距離スキー男子10キロクラシック(立位)で力走する金メダルの新田佳浩(17日)
      距離スキー男子10キロクラシック(立位)で力走する金メダルの新田佳浩(17日)

     平昌冬季パラリンピック第9日の17日、距離スキーの男子10キロクラシカル(立位)で新田佳浩(37)(日立ソリューションズ)が終盤で逆転し、24分6秒8で金メダルを獲得した。2冠に輝いた2010年バンクーバー大会以来、8年ぶりの金メダル。今大会では14日の男子スプリント・クラシカル(立位)の銀に続く、自身2個目のメダルとなる。競技終了後、記者らに「自分自身が最後まであきらめず滑れば、結果は後からついてくるという思いで滑った」と語った。主な一問一答は次の通り。

    チャンスは必ず来ると思っていた

    ――率直な感想を

    「良かった、うれしかった。(レース前の)朝、妻の手紙を読み、子どもの手紙を読み、自分の4年間を思い出しました。長浜一年(かずとし)コーチと家族、スタッフ全員に思いをもらった4年間でした。自分は幸せ者だ、苦しいことがあってもあきらめちゃいけないという気持ちでレースに臨めました」

    ――(ゴール後)涙は出なかったか

    「涙はちょっと出ました。(長年のライバルであるフィンランドのイルカ・トゥオミスト選手など)これを機にレースを退く選手たちや一緒にずっと戦ってきた選手たちを思うと、感傷にひたってしまうところがありました(むせび泣く)」 

    ――今日は最初に転倒した。そこからどうレースを進めようと思ったのか

    「(雪質の変わり目に)気をつけていたが、結局ひっかかって転倒した。でも、10キロだからどうにかなるだろう、最後のラップまでいかにスピードをキープするかを意識してレース展開を考えました。最後の周(3周目)の登り坂で、トップの選手との差がかなり詰まってきたという情報を聞き、やはりあきらめない、4年間このためだけにトレーニングやってきたのに負けちゃいけないという気持ちで滑りました。だから、逆転できた」

    ――2周目の(トップとの)11秒差は予想以上に離れた感じだったのか。

    「チャンスは必ず来ると思っていました。後は自分自身がどれだけ我慢できるかでした」

    ――3周目、自分が勝っていると分かったのは、どこの時点だったか。

    「残り1.5キロくらいの地点。直線からUターンするところで『2秒勝っている』と(コーチらから)言われました。ここは最後、いくしかない、と」

    今回で引退のライバル選手に「お疲れさま」と

    • 距離スキー男子10キロクラシック(立位)で金メダルの新田佳浩(17日)
      距離スキー男子10キロクラシック(立位)で金メダルの新田佳浩(17日)

    ――ゴールした時は、どんな気分だったか。

    「ゴールして、タイムを見て『あ、これは行ったな』と。(荒井秀樹監督が)トップだ、トップだと言うんですよ。その時にはもう、トップかどうかよりも、そこでイルカ選手のゴールを待っていたかった。ぼくは『お疲れさまでした』と彼に言いたかった。川除(大輝)選手にも声をかけたいと思っていました」

    ――37歳で、もう一度世界一になった。

    「4年間よく頑張ったと思います。非常に苦しく、自分自身逃げてしまいそうになりましたけど、いろんな人にぼくは支えられている。その人たちのために、自分自身のために、最後は頑張りました。37歳というのはまだまだ若い、まだできる、やれることもやりたいこともいっぱいあります。エネルギッシュな力さえあれば、何とかなると感じました」

    ――長野大会から20年、パラリンピックを戦っている。

    「長野大会からこの大会まで(荒井体制になって以降パラリンピックの距離スキー種目で)、メダルを獲得できていない大会がない。その流れを止めない、という気持ちでした。本当にいろいろな思いが詰まった大会になりました」

    あきらめず滑れば結果はついてくる

    ――前に金メダルを取った8年前と今回で、味わいに違いはありますか。

    「前は、『取りたい』と思って取りに行った。今回は、自分自身が最後まであきらめず滑れば、結果は後からついてくるという思いでした。自分の力を出し切ることが一番大事でした」

    ――きのうの夜はどんな心境だったか。

    「選手村で同室の成田くん(緑夢、スノーボード)が、銅、金と取って、(その時点で)ぼくが銀を取っていた。(二人合わせて)金銀銅そろい、『あとで写真撮らせてね』という話をしていました。彼やアルペンの村岡(桃佳)選手、森井(大輝)選手の勢いに続きたいと思っていました。少し興奮して眠れませんでしたが、朝、(家族からの)手紙を読んで涙し、自分の思いをリセットし、レースは冷静に臨めました」

    【人物・プロフィル】新田佳浩

    2018年03月17日 17時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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