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パラ「金」20個目標 心揺さぶる大会に…河合純一JPC委員長

 
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 東京パラリンピックは8月24日で開幕まであと1年となりました。日本パラリンピック委員会(JPC)委員長で日本選手団団長の河合純一さん(45)が、このほど読売新聞の取材に応じました。今年2月に掲げた「金メダル20個」の目標は変えず、「選手たちが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を準備したい」と、トップとしての決意を力強く語ってくれました。(運動部 畔川吉永、矢萩雅人)<動画は、こちらから>

  河合 純一 (かわい・じゅんいち) パラリンピック競泳(視覚障害)金メダリスト。1975年、静岡県生まれ。中学3年で視力を失う。水泳は5歳から。2012年ロンドン大会まで夏季6大会連続で出場し、金5個を含む21個のメダルを獲得。華やかな競技人生と並行して母校の中学校で教べんを取った経験も。今年1月から現職。

笑顔でインタビューに答える河合JPC委員長
笑顔でインタビューに答える河合JPC委員長

 Q.新型コロナウイルスの影響で大会が1年延期になりました。アスリートはどうやって気持ちを維持すればよいですか?

 (来年の)8月24日スタートで実施される競技スケジュールもほぼ1年スライドされたような状態で行われることが公表されたので、一つのゴールは見えてきています。ゴールは決まれど、途中通過点がなかなか見えにくいということがあって、非常に悩ましいところだと思います。

 でも、ゴールが決まっているということは、数か月後にはこのレベルのトレーニングとか、これぐらいのパフォーマンス(ができるということ)を当然積み上げていくしかない。やっぱり、自分たちの置かれている環境の中で、今できることを毎日着実に積み上げていくという発想を展開しながら取り組むことが、今は大切なんだろうと思います。逆算じゃなくて積み上げる、この発想の転換かなと思います。

選手によって異なる境遇と不安

リオ大会の車いすラグビーで銅メダルを獲得し喜ぶ日本代表たち(2016年9月)
リオ大会の車いすラグビーで銅メダルを獲得し喜ぶ日本代表たち(2016年9月)

 Q.選手たちはどんな不安を抱えていますか?

 ベテランの時代だったら苦しいというか、すごく悩むと思いますよね。例えば雇用されているのかとか。そういう収入も含めて考えたときにどうなのかと。契約がそもそも年度末まで延ばしてもらえるのかとか、そういう不安も当然出たでしょうし、年齢を重ねれば重ねるほど1年後まで体力を維持する難しさ、さらに向上させなきゃという中でやりきれるのかという不安も、うまくつきあってやっていくしかないと思います。

 でも逆に若かったら、さらに記録を伸ばしてみたいとチャンスに思ったかもしれないですし、こればかりは分からないですよね。若くたって、ちょうど2月、3月頃にケガをしていたのであれば、(治療期間ができて)本当にありがたいと。年齢を重ねてもそういうのがあるでしょうし、だから本当に条件によって、感じ方、考え方は異なってくるだろうと思います。

リオ大会の視覚障害者マラソンで銀メダルに輝いた道下美里選手(2016年9月)
リオ大会の視覚障害者マラソンで銀メダルに輝いた道下美里選手(2016年9月)

 Q.東京大会でのメダル獲得目標は?

 金メダルは20個ということです。数字としてはそういうことになります。選手たちが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を準備することが、チームとして、JPCとしても1年かけて取り組むべきことかなと思っています。

 Q.東京大会では日本選手団の団長を務めます。どんな大会を期待しますか?

 パラリンピック22競技が広がることが大きなポイントだと思いますが、東京大会を通じて、アスリートのパフォーマンスやメッセージ、あるいはメディアの皆さんの記事に触れたり、実際に観客として見たり、ボランティアで関わったりした人が心を揺さぶられ、よりよい社会を作るための一人になりたいというか、自分なりのアクションを続けていくことを一番促していきたいです。

 広い意味で言うと、この国にいる障害のある方がいつでもどこでもスポーツを楽しめるような社会になるための大きなきっかけになるということが、我々が目指す方向性だと思います。

できるだけ会場で観戦できるように

アテネ大会・男子50メートル自由形で金メダルを獲得した河合純一さん(2004年9月)
アテネ大会・男子50メートル自由形で金メダルを獲得した河合純一さん(2004年9月)

 Q.まだ観戦方式が決まっていませんが?

 単純に見やすさだけで言えば、テレビの方が(選手の)表情とかも見やすいと思います。でも、その会場の一体感とか、スタジアムそのものが地響きが起きるような体験は、選手にとっても貴重な経験ですが、その場に行った人しか体験できないと思います。できるだけ多くの人たちが生で観戦できるような環境になることを期待しています。

 Q.リオ大会では会場は多くの観客で盛り上がりました。ご自身の現役時代、どの大会が印象に残っていますか?

 水泳は人気があるので、大会はどこも大声援だったと思います。ロンドンも北京もそういう印象がありますし、アテネやシドニーも、それぞれそういう印象はあります。

 Q.その盛り上がりの中で金メダルを取ったことは最高の思い出に?

 そうですね。その時間と空間を我が物にした気分ですね。(東京大会でも日本代表選手たちに)20回以上、味わってほしいですね。

未知のウイルス…選手に合わせて専門家とサポート

リオ大会の車いすテニス・男子ダブルスで銅メダルを手にした国枝慎吾(右)、斎田悟司組(2016年9月)
リオ大会の車いすテニス・男子ダブルスで銅メダルを手にした国枝慎吾(右)、斎田悟司組(2016年9月)

 Q.日本パラリンピック委員会として選手や競技団体をどうサポート?

 この期間中も何度か競技団体を含めて要望とかそういうものを取っていますし、コミュニケーションを密に取りながら、一か月一か月、その日その日、いろんな状況が変化しているところかと思いますので、課題があればできるだけ早く解決し、競技団体に戻していくということを進めていくしかないですよね。

 だれもが経験したことのない未知のウイルスとの戦いになりますから、しっかりと皆さんと相談し、専門的なアドバイスをいただいて、やるべきことをきっちりやって競技団体をサポートすることになります。

 Q.選手たちの仕上がり具合は気になりますか?

 内定を決めている選手はいいですが、いろいろな方が混在しているので一言で言いにくいところがありますね。競技も違い、年齢・性別・障害も違う。選手が多岐にわたる中、今の境遇も違う中で難しいなと思います。

リオ大会・競泳男子100メートル自由形で銅メダルを獲得した木村敬一選手(2016年9月)
リオ大会・競泳男子100メートル自由形で銅メダルを獲得した木村敬一選手(2016年9月)

 ただ、我々は彼らが頑張っていること、アスリートやコーチを含めて活動をしっかりサポートしていきたいということは常々お伝えしている。早めの対応をしてそういう不安とか懸念を払拭(ふっしょく)しながら積み上げていくということかな。

 Q.あと1年、大会の機運を盛り上げる必要もありそうです。

 今はまだ感染症の状況が厳しい中でありますから。とはいえ、選手やコーチたちは粛々とやるだけです。本当によりよいタイミングを見て、来年の本番に向けて一人でも多くの皆さんに、できることであれば会場で応援していただけるような状況を作れるよう我々としても最大限努力していきます。

リオ大会の閉会式で東京大会をアピールする日本人アーティストたち(2016年9月)
リオ大会の閉会式で東京大会をアピールする日本人アーティストたち(2016年9月)
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1434158 0 東京パラリンピック 2020/08/26 12:00:00 2020/08/26 12:11:35 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200825-OYT8I50000-T.jpg?type=thumbnail
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