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組んだ状態で「はじめ」、残り1秒で逆転も…柔道

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 日本人にとってなじみ深い柔道はパラリンピックの正式競技でもあります。視覚障害者が対象で、最初から組んだ状態で戦いを始めるのが特徴です。相手が見えない選手たちは、どのように動きを捉えて技をかけているのかを紹介します。

日本発祥、88年にパラ正式競技に

男子66キロ級の代表に内定した瀬戸勇次郎選手(右)
男子66キロ級の代表に内定した瀬戸勇次郎選手(右)

 日本発祥の柔道がパラリンピックの正式競技となったのは、男子が1988年のソウル大会、女子が2004年のアテネ大会です。パラリンピック開催を見据えて、国内では86年3月に日本視覚障害者柔道連盟が発足。パラリンピックをはじめとした国際大会に数多くの選手を派遣しています。柔道は欧米をはじめとした世界各国に普及しており、2016年のリオデジャネイロ大会では36か国から129選手が出場しました。

ルール

 視覚に障害がある選手が出場します。ただし、障害の程度で分かれて戦うのでなく、一般の柔道と同様に男女別で階級ごとに試合が行われます。男子は60キロ級から100キロ超級までの7階級、女子は48キロ級から70キロ超級までの6階級があります。

ルールは一般の柔道とほとんど同じで、試合時間は4分。「一本」を取るか、「技あり」を2回取った方が勝ちとなります。大きな違いは常に組み合った状態で戦う点です。選手同士がともに道着の同じ位置をつかみ、審判が公平な状態であることを確認してから「はじめ」の合図がかかります。このため、オリンピックの柔道で見られるような組み手争いはありません。

 選手たちは視覚から情報を得ることができなかったり、難しかったりするため、試合中に選手たちが場外に近づくと、審判が「場外、場外」と声をかけて伝えます。組んだ手が離れると「待て」がかかり、組み直して試合が再開されます

 試合場のすぐ外で見守るコーチは声を出して選手に指示することが認められており、相手選手の状況などの情報を伝えることができます。

目の代わりに手で動きを察知

東京パラリンピックの代表入りが決まっている永井崇匡選手(右)
東京パラリンピックの代表入りが決まっている永井崇匡選手(右)

 日本視覚障害者柔道連盟の伊藤友治副会長は「点字で分かるように、視覚障害者にとって手は目の代わり」と言います。選手は対戦相手がどのような動きをしているかを手で察知しており、手から感じ取れる相手のバランスの変化などちょっとした動きを見逃さずに技をかけています。2008年の北京パラリンピックに出場した柔道家の初瀬勇輔さんは「暗闇で (つか) むぶ厚い奥襟の小さな揺れがお前の心」と短歌を詠んでいます。一方、手で動きを察知する方法を逆手に取ってフェイントをかけることもあるといい、伊藤さんは「相手に動きを思い込ませるのも作戦のうち」と説明します。

 また、選手たちは畳を擦る足さばきにも耳を研ぎ澄ませており、伊藤さんは「静かに観戦してもらいたい」と話します。組み手争いがなく、残り1秒でも逆転がありえるため、「スリリングなのがだいご味。目が離せませんよ」とも力説します。

メダル

 日本は1988年のパラリンピックソウル大会から2016年のリオデジャネイロ大会までに金11、銀10、銅9の計30個のメダルを獲得しています。しかし、前回のリオ大会では金メダルを逃しました。伊藤さんによると、ブラジルやウクライナなど世界各国のレベルが上がってきているといい、東京大会では日本選手の巻き返しが期待されています。

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2184324 0 東京パラリンピック2020速報 2021/07/07 10:10:00 2021/08/28 13:17:40 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/t-kunda.jpg?type=thumbnail
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