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エレガントな動き、パラ唯一の採点競技…馬術

 
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 パラリンピックの馬術では、肢体や視覚に障害を持つ選手たちが馬をコントロールし、演技の正確さや美しさを競っています。限られた身体機能でどのように演じているのか、ルールなどを通じて競技を紹介します。

96年にパラ正式競技に

 馬術はリハビリを目的に始まり、競技として発展しました。特にヨーロッパで盛んで、1996年に開かれたパラリンピックのアトランタ大会で正式競技となりました。パラリンピックの中では唯一、審判による採点で順位が決まる競技です。国内では93年に「日本障がい者乗馬協会」が発足。「全国障がい者馬術大会」を開催するなどして競技の普及に取り組んでいます。

ルール

人馬一体となった演技が披露された馬術大会
人馬一体となった演技が披露された馬術大会

 オリンピックでは障害物を飛び越える障害馬術など複数の種目がありますが、パラリンピックでは演技の正確さや美しさを競う馬場馬術のみが行われます。

 選手となるのは肢体や視覚に障害がある人で、体の可動域がどれくらい残っているかなど障害の種類や程度を総合的に判断して、グレードIからグレードVの五つのクラス分けをしています。各クラスに男女別はありません。数字が低いほど障害の程度は重く、重度の脳性まひなどがグレードIに該当します。

 許可を得れば、障害を踏まえて改良した馬具を使用することができます。片手でも扱えるようにしたバー状の手綱などがあります。

 競技を行うアリーナの広さはクラスによって異なります。障害の程度が軽い3クラスは長さ60メートル、幅20メートル、障害が重い2クラスでは長さ40メートル、幅20メートルのアリーナを使います。

馬の歩法には遅い方から順に「 常歩(なみあし) 」「 速歩(はやあし) 」「 駈歩(かけあし) 」があります。アリーナ内や周囲にはアルファベットの目印が置いてあり、選手たちは「B、E、Kの順に常歩で」といった指示に沿って馬をコントロールします。5人の審判員が指示通りに動いているか、馬の頭や尻尾の位置、脚の動きなどをみて採点します。クラスに応じて演技に求められる歩法は異なり、グレードIでは常歩のみです。

 記憶に障害がある選手のためにコースを伝える「コマンダー」や、視覚障害者のために目印の位置を声で知らせる「コーラー」というアシスタント役もいます。馬には他の馬がいることで落ち着く習性があることから、アリーナの外に「フレンドリーホース」を待機させることも認められています。

まるで馬が自分の意思で動くかのよう

東京パラリンピックで馬術競技が行われる馬事公苑(2020年11月撮影)
東京パラリンピックで馬術競技が行われる馬事公苑(2020年11月撮影)

 日本障がい者乗馬協会の河野正寿事務局長によると、審査員は、馬を調教できているかどうかを評価しており、口に取り付ける馬具「はみ」を嫌がっていないか、後ろ脚が活気よく動いているかなどを見ています。河野さんによると、「いい馬は緊張がなく、筋肉が滑らかに動いてエレガントに見える。素人目でも美しく見える」と話します。よく調教され、最小限の指示で動く馬の姿は「まるで馬が自分の意思で動いているようにも見える」ともいいます。

 選手たちは例えば、右腕が不自由ならその代わりに身体を右側に傾けるなどして馬に指示を出しています。河野さんは「障害を持ちながら馬の上に乗ること自体が難しいのに、限られた身体機能で馬をコントロールしている。健常者であっても同じことをするのは難しい」と説明します。

 競技を終えた選手が馬をいたわる姿も見られます。河野さんは「人馬一体にならなければ戦えない競技。『よく頑張ったね』という気持ちの表れ」と絆の大切さを強調します。

メダル

 日本は2000年に開催されたシドニー大会で初めてパラリンピックに代表選手を派遣しました。以降、パラリンピックには毎回出場していますが、メダルはまだ獲得していません。東京大会での躍進が期待されています。

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2184335 0 東京パラリンピック2020速報 2021/07/07 10:10:00 2021/07/09 12:17:46 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210706-OYT8I50065-T.jpg?type=thumbnail
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