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[パラ友]増田明美さんとの開幕直前トーク(対談全文、前編)

 
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 読売新聞パラリンピック・スペシャルサポーターを務める俳優の中尾明慶さん(33)と女優の仲里依紗さん(31)夫妻が、1984年ロサンゼルス五輪女子マラソン代表で日本パラ陸上競技連盟会長の増田明美さん(57)にインタビューし、東京パラリンピックの見所や大会の意義、パラスポーツの魅力を聞いた。(対談はリモートで行われました)

大会延期で「技術革新進む」

中尾明慶さん(左)と仲里依紗さん
中尾明慶さん(左)と仲里依紗さん

増田明美(以下、増田)「リモートですがお会い出来てうれしいです。よろしくお願いします」

中尾明慶(以下、中尾)「まず、会長としてパラスポーツを盛り上げたいという一番の原点はどのあたりでしょうか」

増田「一番は選手の魅力ですよね。パラの選手の皆さんは底抜けに明るいんです。後は技術的なすごさ。私は陸上にいることが多いのですが、例えば走り幅跳びの選手が義足との一体感の中で最高のパフォーマンスをするために、動き作りとか。あと動きをしやすくするための筋力強化とか。あと技術的なことをするために、技を磨いていく姿も。そういう努力と人間性の明るさ、この競技者になる前に事故に遭って落ち込んだ所から復活したり、先天性の所からとか、もう皆さん一山超えている。そういう明るさが好きですね、五輪と同じようにたくさんのファンに見てもらいたい、盛り上げて行きたいという気持ちが強いです」

中尾「何人か取材をさせていただきましたが、皆さん、本当にすごいなと思わせられることが多いです。今回、新型コロナウイルスの影響で大会が1年間延期になりました。義足などの開発は1年でドンドン進歩していきます。個人的に気になるのは、装具の開発力や記録は、1年の延期によって進歩することが期待できるのか、という点ですがいかがですか」

増田「おっしゃる通りです。例えば、陸上は義足や車いすの技術革新が進んでいます。延期されたことで、義肢装具士を含めたレベルも上がっています。そういった技術が上がっているので、そこの競争もありますね。車いすの選手が使っているレーサーはいいものだと全部カーボンで出来ていたりして350万円くらいするね。車が1台買えるような。それをホンダが作ればトヨタも競って、さらに技術が向上しようとするから。中尾さんと話をしていて気付いたのは、パラスポーツは選手の向上だけではないということ。道具の向上もあるから、チームになるんですよね。選手を中心にしたチームを作りやすい」

中尾「五輪は様々な記録が生まれました。パラの延期で、新記録や個人記録の向上などの楽しみがあるかなと思います」

増田明美さん
増田明美さん

増田「面白い視点ですね。選手を見ていると、延期の前は中止になるんじゃないの?とか、そういう声も聞こえてくる中でモチベーションを維持することが大変だったから。選手は『心のスタミナがついた』とよく言います。五輪と同じで若い選手はいいんです。伸びしろのある選手は伸びていきますから。一方、ベテランは2020年で競技を終わらせようという人生設計を立てている選手も多くいました。1年の延期は体力の維持も大変だったし、進行性の病気を持っている選手もパラには少なくないので、延期そのものは、すごく大変なことでした」

無観客が「プラスに働く」選手も

仲里依紗「ほぼ無観客で五輪も実施することになって、視聴者側としてはやはりテレビでしか応援できない、ちょっとさみしいというか。東京でやっているのに、東京でやっている感じがしなかったですよね」

増田「うんうん」

仲「一方で、テレビでしか声援を送れなかったことがプラスに影響した選手もいるんじゃなかと私は思います」

増田「そうですね。選手にも2つのタイプがいます。例えば、走り幅跳びの山本篤君。自分が跳ぶ前に拍手をもらうために、(観客を)あおるのね。そういう選手にとっては、無観客は力を発揮しづらい。でも仲さんが言うように逆の選手もいる訳です。脚がすくむ選手もいる。あまりに観客の多さで平常心を保てない選手にとっては自分に集中しやすくなるかもね」

仲「私も本番よりテストの方がうまく行くことがあるので」

増田「舞台と似ているかも」

仲「何か似ているなぁと思って。力を抜いた方が、良かったなというのがあるので。選手もそういうタイプが絶対いるだろうなと思いながら、テレビで見て思っていました」

増田「私のイメージからすると、仲さんは本番に強い印象がありました。いつも何か、スパっとしたさっぱり系の役が多いじゃないですか。だから度胸が据わっているという感じだったから、今の話は意外でした」

仲「テストで(カメラを)こっそり回しといてくれる監督がいればいいのになぁと思います」

増田「リハーサル的な」

仲「サッカーでも、いつもは観客の声援で、選手同士の「パスして!」という声が聞こえなかったのに、今回は聞こえた。ブラインドサッカーは、ボールの音でボールの位置を把握するものがある。静かな場所でやる方が選手の力がより発揮できるのかなという風にも思います。それに、人がいる重圧も得意・不得意の選手がいるんだろうなという印象はあります」

増田「それはありますよね。ブラインドサッカーは、無観客なら、視覚障害者にとっては良かったですよね。陸上でも、東京パラでは視覚障害の走り幅跳びではコーラーという人の手拍子とか声だけを頼りに助走をして跳んでいくんですよ。そういう人にはいいのかなと思います」

仲「取材で、ブラインドサッカーの体験をしたのですが、自分で目を閉じるといっぱい感じようとする力がすごいと思って」

増田「視覚障害の選手は何人か知っていますがすごいよね。もう耳が研ぎ澄まされているから全部聞こえちゃうし、見えない分ほかの能力が敏感になっている。もう天才的ですね」

パラリンピックの注目選手

中尾「パラリンピックは、どのくらい期待できそうですか」

増田「自己ベスト更新している選手が多いんですよ。日本記録もいっぱい出ている。五輪もそうですが、今回は試合数も減っていたから、練習で自分を追い込む時間が増えて、それで自己ベストや日本記録が多くでていると思います。だから格差が出ましたね。心のスタミナをつけて切り替えてすごい練習をして記録が出る人と、モチベーションが出ない人の格差が出た。私はメダルの数はリオより増えると思います」

仲「時差とか気候の面で、日本でずっと練習している人は土地に慣れています。そういった部分でも、日本の選手の方が期待できるんじゃないかなと思います」

増田「車いすの選手とかが、特にそうですが、汗をかきにくかったりします。だから、日本の湿気や暑さはこたえると思います。暑熱対策をやってくるとは思いますが、さっきの車の技術とか、義足の技術と同じように『知の結集』な訳です。国によって暑さ対策、暑熱対策はスポーツ医科学がどこまで浸透しているか試される。日本はスポーツ医科学が素晴らしいから競歩もメダルとったでしょう?あれも氷を渡したり、帽子の中に水とか、日本は科学班がいますが、国によってスタッフが1人もいない国がある。特に、仲さんが言われるようにパラの選手は五輪より体の面で大変だから、命取りになりますね

仲「この環境で練習をしてきている選手は、より力を発揮できるんじゃないかな。他の国の選手より有利なんじゃないかなと思います」

道下美里さん
道下美里さん

増田「マラソンの道下美里さんという視覚障害のリオ銀メダリストがいます。今回は金を狙っています。マラソン競技では、アフリカ勢が強いのですが、普段から高地にいる、エチオピアもケニアの選手も日本の湿度が大嫌いです。そういう意味では屋外スポーツでは地の利はありますね」

中尾「五輪は熱中症の選手も出ていましたが、今年のこの暑さはどうですか」

増田「東京はこれくらいの暑さと思っていましたが、札幌は予想より暑かった。もう少し気温も湿度も低いと思われていましたね。でも、意外と暑かったから前の日に1時間早くするとなった。あんなのあり得ない話ですが……少しでも涼しい中で、ということでしょう」

中尾「五輪で国立競技場は風が回って記録が出やすいといわれました。パラでも共通しますか」

増田「そうですね。国立は風を感じるんですよ。隈研吾さんのデザインで、専門家の意見を聞きながら作っているのでしょうね。パラも期待できますね」

佐藤友祈さん
佐藤友祈さん

中尾「僕たち、陸上の佐藤友祈選手をインタビューさせてもらいました。『必ず世界記録を出す』とおっしゃっていました。増田さんから見て、いかがでしょうか

増田「佐藤君は結婚してから良くなりましたね」

中尾・仲「そうなんですか!」

増田「奥様が食事を徹底しています。奥様が毎日作る、合わせ味噌のお味噌汁を飲むのが大好きだそうです。あと白身魚の南蛮焼き。これらを、全部、奥様が作って太りやすい体質を変えました。それで結婚した後に、世界選手権で2冠。今もすごいですよ、彼は金を取るし、記録も出しますね」

中尾「メロメロだと言っていましたね、奥さんに。好きで、好きで仕方がないと」

仲「今は会えないから寂しいと」

増田「奥様が素敵な人なんですよ、仕事も出来て聡明。厳しいことも言うようですが。そういう、“幸せのエネルギー”も友祈さんの背中を押していると思います

中尾「今回は、家族も入れないんですよね

増田「そうですね」

中尾「不安要素はそこだけですね。会場に女神がいないと…

増田「でもギリギリまで電話したり、奥様と。あと、友祈さんがすごいのは『ゾーンに入る』といつも言っています。一時期、ストレスがあった時には「ゾーンに入れない」と言っていた。けっこう緊張しているから、ネガティブな言葉は、前の日に吐き出しちゃうんですって。それで、ウォーミングアップに入ったら呼吸法から入って、これだと思った時に吐いた時にポジティブな言葉ばかりを入れて、自分なりのゾーンに入って行けるのです。

中尾「自分でちゃんと作る。それも彼の力」

増田「お二人が良く取材したなと思うのは、中尾さん仲さん、そっち(芸能)の世界にも(佐藤が)行きたかった時もあったんですよ、言っていたでしょう?うれしかったんですよ、写真見たらニコニコしていたもの」

仲「髪を染めたりとか、おしゃれでした。お父さんが、格闘技をされていましたが、自分は痛いのが嫌だともおっしゃっていました」

中尾「子供の頃泣きながらやっていたとかそんな話もありましたね。増田さんの注目選手はいますか」

中西麻耶さん
中西麻耶さん

増田「いっぱいいます。私、中西麻耶さんいいと思うんだ。走り幅跳びで、世界選手権で金メダルをとりました。すごく美人で、苦労人でね。米国のコーチの指導を受けたいと思って、でもお金がなくて、何年か前にカレンダーでセミヌードを撮影して、そのお金で米国に渡った。そのコーチの指導を受けて強くなって、今は日本のコーチですが、切り開いていったんです。19年世界選手権で金メダルをとって、その年の紅白で審査員までやっています。競技力も素晴らしいし、開拓精神もある。だから私すごく応援していて個人的にもメールでやりとりしていて、いつも、いつも恋愛相談をしているんです。彼女はすごいストイックなの。おうちでサラちゃんという名前の犬を飼っていて、『何でサラちゃんなの?』と聞いたら、サラは『女王』という意味で、サラちゃんも犬がハードルを超える競争をやっています。だからサラちゃんも“アスリート”で、女同士だから良くぶつかると言っています

中尾「ワンちゃんとぶつかるんですか?」

仲「ははは(笑)」

増田「彼女みたいな人がいるとパラスポーツ盛り上がる、スター性があるからね」

仲「佐藤友祈選手もそこを変えたいと言っていますね。『自分がドンドン前に行ってパラリンピックを変えてみたいと』言っていました」

増田「それでファンが増えればまた追い風になる。良い循環ですね」

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2307725 0 東京パラリンピック2020速報 2021/08/24 03:05:00 2021/08/24 03:05:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210817-OYT1I50062-T.jpg?type=thumbnail
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