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イケイケ音楽にド派手演出のパワーリフティング…男子49キロ級の56歳・三浦浩が発揮したショーマンシップ

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 屈強な選手たちが、上半身の力だけでバーベルを持ち上げる。そんな「世界一の力持ち」を決める競技がパワーリフティングだ。東京パラリンピックでは26日、この競技が始まり、男子49キロ級に3大会連続出場となる56歳の三浦浩(東京ビックサイト)が出場した。そこには徹底的なショーマンシップがあった。(読売新聞オンライン・古和康行)

元クラブ好きも思わず拍手、審判選びに「あの曲だ!」

 派手な衝突や激しい競り合いはなく、男たちが黙々と力比べを繰り広げる。正直に言うと、地味なスポーツを取材するつもりでいた。競技会場に足を踏み入れて、驚いた。

 試合前から大音量で音楽が流され、競技を行うステージ上には大型モニターが3つ。天井からはまばゆい色とりどりのスポットライトが観客席を照らしている。「クラブだ……!」。所帯を持つまで無類のクラブ好きだった記者は、血が騒いで仕方ない。地味だろうなんて思いこんでいた自身の不明を恥じるばかりだ。

 無観客開催にもかかわらず、見る人を楽しませようという工夫が、そこかしこに凝らされている。試合前には出場選手全員がステージに上がり、選手紹介が行われる。2人のMCが競技の見どころを、きっちり解説してくれる。

 審判の人選までが、イベント化されている。大型モニターで様々な審判員の顔が映し出され、抽選スタイルで進む。その最中に流れている曲は、かつて昼どきの人気トーク番組「ライオンのごきげんよう」でゲストがサイコロを振る時にかかっていた、あの曲だ。「何がでる…、何がでる…」と心の中でつぶやきながら、審判3人の顔ぶれが発表された時は、思わず拍手をしてしまった。

無観客でも、気持ちよく「ありがとう!」

 試合が始まると、真剣勝負の熱気に圧倒された。

パワーリフティング男子49キロ級で9位に終わった三浦浩(26日、東京国際フォーラムで)
パワーリフティング男子49キロ級で9位に終わった三浦浩(26日、東京国際フォーラムで)

 三浦は、レッド・ツェッペリンの名曲「移民の歌」をバックに登場した。試技の直前、カメラに向かって親指を立てるルーチンをみせてから、台の上に横たわる。「行くぞ! 行くぞ!」と声を出して、一気に122キロを挙げた。2回目の試技は125キロを失敗。最後の3回目は、自身がリオ大会で記録した126キロを1キロ上回る127キロに挑み、見事に成功してみせた。静かな会場で「ありがとう!」と声を上げ、戦いを終えた。

 上に上ありで、金メダルを獲得したヨルダンの選手は173キロを記録した。パラリンピアンたちが、健常者がベンチプレスで出す記録を上回るという競技のすごみが、垣間見える戦いだった。

目指すは63歳、28年ロス大会

 9人中9位という結果で入賞を逃した三浦。それでも、試合後は快活だった。長くコンサートスタッフとして働いたキャリアの持ち主とあって、会場の東京国際フォーラムには「死ぬほど(たくさん)来ていましたよ!」。親指を立てるのは集中するためなのかという報道陣の質問には「パフォーマンスです」と、きっぱり答えた。試合後に観客席に感謝の声を響かせた理由は、こう説明した。「ライブに行くと、アーティストが生声で喋るじゃないですか。それは最後に絶対やろうと決めていました。気持ち良かったですよ」

 2024年のパリ大会時には、59歳になっている。今後について「2028年のロサンゼルス大会までは出場したい。色んな国の選手に『お前、まだ来ているのか』と言わせたい」と語った。どの記者もニコニコ笑って、話を聞いた。

 パワーリフティング。競技も選手も、ショーマンシップにあふれたスポーツだった。

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2316649 0 東京パラリンピック2020速報 2021/08/26 15:49:00 2021/08/26 16:15:41 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210826-OYT1I50102-T.jpg?type=thumbnail
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