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パラ走り幅跳びの苦労人・中西麻耶、故郷での再起誓う「楽しく練習したい」

 
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陸上女子走り幅跳びで6位に入賞した中西麻耶(28日、国立競技場で)=杉本昌大撮影
陸上女子走り幅跳びで6位に入賞した中西麻耶(28日、国立競技場で)=杉本昌大撮影

 金メダルのオランダ選手は世界新の大ジャンプ、銀のフランス人選手も大会記録をマークした。28日の東京パラリンピック・女子走り幅跳び(義足T64)はハイレベルな攻防。4大会連続出場だった日本パラ陸上界きってのスター・中西麻耶(阪急交通社)はメダル争いに絡めず、6位に終わった。(読売新聞オンライン・谷口愛佳)

 中西は2本目のジャンプで5メートル12を記録し、5本目で5メートル27を跳んだ。ただし、この記録も自己ベストを下回ること43センチ。最後の6本目を前に、ほぼ無人の観客席に手拍子を求めて自身を奮い立たせたが、この日3度目のファウルになった。試合後、不振の原因を「助走の力は上がってきていたが、それをうまく跳躍につなげる感覚・手応えをつかめなかった」と自己分析した。

 中西は大分県出身。塗装会社に勤務していた2006年、落ちてきた鉄骨の下敷きになり、右脚のひざ下から先を失った。リハビリで始めた陸上競技で頭角を現し、パラリンピック初出場だった08年の北京大会では、200メートルで4位、100メートルで6位に入った。この年の冬、単身で渡米。練習に明け暮れるトレーニングセンターで出会ったロサンゼルス五輪三段跳び金メダリストから「君なら、6メートルを跳べる」と声をかけられ、走り幅跳びを始めた。

 12年ロンドン大会は、走り幅跳び8位、200メートル9位、100メートル10位。16年リオデジャネイロ大会は、走り幅跳びで4位に入り、100メートルは16位だった。出場種目を走り幅跳びに絞り、メダルをめざした東京大会だった。

増田明美会長も認めるスター性

「もう一回楽しんで練習したい」と話した中西麻耶(28日、国立競技場で)=杉本昌大撮影
「もう一回楽しんで練習したい」と話した中西麻耶(28日、国立競技場で)=杉本昌大撮影

 中西は、読売新聞が開幕前に企画した対談で、日本パラ陸上競技連盟の増田明美会長から今大会の「注目選手」の一人に挙げられた。マラソン解説でもおなじみの名調子で、会長は中西の人となりを詳しく紹介している。

 「私、中西麻耶さんいいと思う。走り幅跳びで、世界選手権(2019年)の金メダルをとりました。すごく美人で、苦労人でね。米国に渡って、コーチの指導を受けたいと思って、でもお金がなくて、カレンダーでセミヌードを撮影したこともあったんです。そのコーチの指導を受けて強くなって、切り開いていった。競技力は素晴らしいし、開拓精神もある。紅白歌合戦で審査員までやっています。彼女みたいな人がいると、パラスポーツが盛り上がる。スター性があるからね」

 「私、個人的にもメールでやりとりしていて、いつも恋愛相談をしているんです。彼女はすごくストイックなの。おうちでサラちゃんという名前の犬を飼っていて、『何でサラちゃんなの?』と聞いたら、サラは『女王』という意味で、サラちゃんも犬がハードルを超える競争をやっています。アスリート同士なのね」

 競技団体のリーダーから「スター」と認められ、実績も十分な中西だけに、東京パラリンピックでの完敗はショックも大きかったはずだ。金メダルが6メートル16の世界記録で、銀メダルが6メートル11の大会記録というライバルたちの成長に、厳しい現実も見せつけられた。

 それでも、何度となく苦境を乗り越えてきた中西は、うつむかない。神戸市で来年開催される世界選手権に向け、2020年春から暮らす関西から、あえて故郷の大分県へ拠点を移して競技を続ける予定という。「もう一回楽しんで練習し、大分の皆さんと深めた絆を確かめて、みんなと世界選手権に行きたい」。原点を見つめ直し、再出発するつもりだ。

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2322044 0 東京パラリンピック2020速報 2021/08/28 17:51:00 2021/08/28 19:07:22 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210828-OYT1I50111-T.jpg?type=thumbnail
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