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山口 無限の可能性…100平「金」

 
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競泳男子100メートル平泳ぎ決勝、力強い泳ぎで世界新記録を出した山口尚秀=泉祥平撮影
競泳男子100メートル平泳ぎ決勝、力強い泳ぎで世界新記録を出した山口尚秀=泉祥平撮影

 男子100メートル平泳ぎ(知的障害)は、山口が世界新で制した。女子400メートル自由形(運動機能障害S7)の小池さくら(大東大)は6位。女子50メートル自由形(視覚障害S13)の辻内彩野(三菱商事)と、女子100メートル平泳ぎ(知的障害)の芹沢美希香(宮前ドルフィン)はともに7位。再レースとなった女子50メートル自由形(視覚障害S11)で石浦智美(伊藤忠丸紅鉄鋼)は7位だった。

競技歴4年 2段ギア世界新

ゴール後、手を振る山口
ゴール後、手を振る山口

 1分3秒77。レース直後、山口は偉業を告げる電光掲示板をじっと見つめた。金メダルだけでなく、自身の世界記録も0秒23更新。胸の内の達成感が、ひしひしと伝わってくるようだった。

 圧巻のレースぶりだった。午前の予選は大会新記録で1位。激しい競り合いとなった決勝も、追いすがる2位の豪州選手に並ばせなかった。50メートルのターンは2位とわずか0秒10差。残り20メートルでもう一段階ギアを上げ、0秒51に差を広げてフィニッシュした。

 自分の泳ぎをモーターとガソリンエンジンで動く「ハイブリッドカー」にたとえる。自分には二つの動力源があり、後半にもう一つパワーを出せると終盤の強さに自信があった。

 本格的に競技を始めたのは2017年という新鋭。30センチの大きな足を生かしたキックを武器に、すぐに頭角を現した。19年の世界選手権100メートル平泳ぎを当時の世界新記録で制し、競泳日本勢の東京パラリンピック代表内定第1号となった。

 3歳の頃、知的障害を伴う自閉症と診断されており、競技者になってからも練習を逃げ出すことがあった。それでも世界一になったことで、今度は周りが自分を倒しに来るという危機感がアスリートとしての魂を突き動かした。「世界一の努力をしないといけない」

 肉体改造に着手し、1日の食事を4食に増やし、ウェートトレーニングにも注力。週6回の練習で多い時は1日約6000メートルを泳ぎ込んだ。課題だったレース後半のスピードが向上。この成果が本番で表れた。

 2000年生まれの20歳。この年、シドニー五輪の女子マラソンを制した高橋尚子さんの「尚」と、球界屈指の強打者だった松井秀喜さんの「秀」をとって、「尚秀」と名付けられた。「(金メダルと)二つ課題を達成できてよかった」。表彰式で日の丸を見上げる代表のジャージー姿がよく似合っていた。(脇西琢己)

石浦、再レースは7位

 選手同士の接触があり再レースになった50メートル自由形決勝に臨んだ石浦は、「ちょっと混乱があったが、気持ちを切り替えて今日を迎えられた」。好スタートから美しい潜水で前に出たが、後半のもう一伸びがなく結果は7位。それでも、やり直し前からタイムも順位も上げた。異例のレースを終え、「メンタルの立て直しも、今後トップに登っていく上でとても大切なステップだと思う」と振り返った。

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2324894 0 東京パラリンピック2020速報 2021/08/30 05:00:00 2021/08/30 05:00:00 競泳男子100メートル平泳ぎ、世界新記録で金メダルを獲得した山口尚秀(29日、東京アクアティクスセンターで)=泉祥平撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210830-OYT1I50001-T.jpg?type=thumbnail
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