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夢の頂点へ 恩師の合図…「タッパー」あうんの呼吸 競泳・木村

 
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 全盲のスイマー、木村敬一選手(30)(東京ガス)の4度目のパラリンピックが始まった。目の役割を代わりに務め、ゴールやターンの合図を送ったのは「タッパー」の寺西真人さん(62)。息子のように思う木村選手を中学時代から見守り、初めての金メダルを目指している。(上田惇史)

木村選手の自由形(30日、東京アクアティクスセンターで)=川崎公太撮影
木村選手の自由形(30日、東京アクアティクスセンターで)=川崎公太撮影

 「もやしみたいにひょろっとしている。この体じゃ勝負にならない」。筑波大付属盲学校(現・筑波大付属視覚特別支援学校)の水泳部顧問だった寺西さんにとって、中学1年の新入部員は目立たない存在だった。

 同校出身の教え子で、計21個のメダルを獲得した河合純一さん(46)と練習させると印象が一変。自分がプールを行き来する間、2往復してしまうパラ競泳のレジェンドを必死に追い続けていたからだ。向上心と、心の強さを買って本格的に指導し始めた。

 木村選手は小4で水泳を始め、五輪金メダル5個を獲得したイアン・ソープさん(豪)にあこがれた。しかし、パラ競泳のレジェンドに出会い、目標が変わった。「河合さんのようになりたい」

競泳男子200メートル個人メドレー決勝で、木村敬一選手(下)にターンのタイミングを伝えるタッパーの寺西真人さん(30日、東京アクアティクスセンターで)=川崎公太撮影
競泳男子200メートル個人メドレー決勝で、木村敬一選手(下)にターンのタイミングを伝えるタッパーの寺西真人さん(30日、東京アクアティクスセンターで)=川崎公太撮影

 寺西さんは河合さんに加え、木村選手のタッパーも担当。釣りざおを改良した棒を使って頭をたたいて知らせるが、0・01秒遅れれば、タイムロスや壁に激突する恐れがある。泳ぎを指導しながら、「あうんの呼吸」を磨いた。

 支援学校を卒業し、自分で練習を組み立てるようになっても、木村選手は「先生じゃないとダメなんです」とタッパーを頼んだ。2012年ロンドン大会で初めてメダルを獲得した時は、涙を流して抱き合った。

 寺西さんの「会心の一撃」はリオデジャネイロ大会の100メートル自由形。4~5番手でターンし、浮き上がった時には数人抜いていた。木村選手は分からなかったようだが、満足した。

 過去3大会で獲得したメダルは銀3、銅3の計6個。「金メダル獲得は俺の夢でもある。人生を懸ける」。寺西さんは18年に支援学校を早期退職し、タッパーに専念した。

 「先生が壁にいると安心して突っ込める。金メダル獲得のプロジェクトを作り上げる仲間です」。木村選手の信頼は変わらず厚い。

 30日の200メートル個人メドレーで、木村選手は寺西さんに伴われて入場。5位だったが、「今回はメダルの数ではない。金を目指しているので焦りはそんなにない」と淡々と語った。

 残りは平泳ぎと、得意のバタフライの100メートル。2人の挑戦は続く。

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2327834 0 東京パラリンピック2020速報 2021/08/31 05:00:00 2021/08/31 05:00:00 競泳女子200メートル個人メドレー決勝で、力泳する木村敬一とタッパーの寺西真人さん(30日、東京アクアティクスセンターで)=泉祥平撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210831-OYT1I50011-T.jpg?type=thumbnail
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