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「エヴァ」ファンの王者「シオラーメン、ダイスキ」…日本語独学の「金」中国人選手

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3回戦で日本の宮本リオンと対戦した何梓豪(奥)
3回戦で日本の宮本リオンと対戦した何梓豪(奥)

 東京パラリンピックのアーチェリー男子コンパウンド個人で31日、優勝した何梓豪(中国)が言った。「シオラーメン、ダイスキデス」。大会記録の高得点を2度マークする強さを発揮し、団体に続く今大会自身2個目の金メダルをつかんだ27歳は、アニメ好きの親日家だった。(読売新聞オンライン・古和康行)

パラリンピック記録2度、眉一つ動かさずにプレー

 試合中は眉一つ動かさず、的に向かって矢を放つ。50メートル離れた先に設置された直径わずか80センチの的の中央に、矢が面白いように刺さる。150点満点中「148点」という大会記録を、準々決勝と準決勝で2試合続けて打ち立てた。「我々(中国チーム)が練習で簡単に出している数字だ。普段通りのこと」と言ってのけた。

 脊髄損傷で車いすで生活している。7年ほど前、趣味を探していて、アーチェリーのコーチを務める友人から誘われたのをきっかけに競技を始めた。急速に力をつけ、2019年世界選手権で団体の銅メダル、その年のアジアの大会では個人・団体ともに金メダルを獲得した。

金メダルを獲得した中国の何梓豪(ロイター)
金メダルを獲得した中国の何梓豪(ロイター)

 今大会は、29日に混合コンパウンド団体でも金メダルに輝いた。世界ランキングは19位ながら、初出場のパラリンピックで大活躍だ。

 31日に個人の金メダリストになった瞬間は、軽く手を上げただけだった。淡々と、圧倒的なプレーを続けた競技中と同じように、感情を表に出さなかった。あまりにも冷静な反応には、自分自身も驚いていたらしく「こんなに集中できたのは初めて」と振り返った。「大会前400日から1日も休まずに練習してきたのが、集中できた要因だ」とも語り、パラスポーツ大国のプライドもにじませた。

「カノジョモイナイ」

 そんな王者のイメージが、インタビュー中に一変した。

 通訳を介して「大会が終わったので家族とゆっくりすごしたい」と話し、家族構成を問われて「両親と住んでいます」と応じたまでは、普通の優勝者インタビューだった。次の瞬間、なんと上手な日本語で語り始めた。「カノジョモイナイデス」

 アニメファンで、日本語は独学だという。競技用ではない車いすに乗り、タイヤの側面を布で隠してインタビューゾーンにやって来たのだが、布をまくしあげると、アニメ「エヴァンゲリオン」のシールがびっしり貼られていた。今までに6回ほど、趣味で日本を訪れたことも明かした。

 お気に入りの街は北海道で「シオラーメン、ダイスキデス」ということだ。日本と中国のラーメンはどちらが好きなのかを尋ねてみたら、ちょっと困った顔になった。「それぞれ特徴があるので……。どっちもおいしいです」。意地の悪い質問をしてしまったかも、と申し訳ないような気持ちになった。

 「世界一のアーチャー」になった名手の、試合中の冷静沈着な姿からは想像もできないチャーミングな一面を知ってしまった。

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2329504 0 東京パラリンピック 2021/08/31 18:13:00 2021/08/31 18:52:43 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210831-OYT1I50095-T.jpg?type=thumbnail
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