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杉浦 全開ペダル…自転車女子ロード タイムトライアル

 
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作戦ピタリ「最高の出来」

自転車女子個人ロードタイムトライアルで金メダルを獲得した杉浦佳子=池谷美帆撮影
自転車女子個人ロードタイムトライアルで金メダルを獲得した杉浦佳子=池谷美帆撮影

 女子個人ロードタイムトライアル(運動機能障害C1~C3)の杉浦佳子(楽天ソシオビジネス)の金メダルは、自転車競技の日本勢で女子初となり、男子も合わせると通算4個目となった。日本勢のメダル獲得は1996年アトランタ大会から7大会連続。藤井美穂(楽天ソシオビジネス)は15位だった。男子個人ロードタイムトライアルで、運動機能障害C3の藤田征樹(藤建設)は7位、同C2の川本翔大(大和産業)は9位。

 1分間隔で選手が1人ずつスタートし、8キロのコースを2周するタイムトライアルで、50歳の杉浦が栄冠に続く道を駆け抜けた。金メダルはズシリと重かった。理由は分かっている。励まし、支えてくれた知人や仲間の数も50年分。「一人で取ったメダルじゃないから、こんなに重いんだと思います」。笑顔が輝いた。

 二つの準備が生きた。

 一つは体調管理。年齢を考慮し、週に1~2日は自転車に乗らないと決めた。毎晩のように「ライバルはきっと強くなっている」と不安に襲われたが、ぐっと我慢した。「競技歴ではベテランじゃないけど、人生ではベテランなので」。パラの得意種目は最高の状態で迎えていた。

 もう一つはレースの予習。会場となった富士スピードウェイ(静岡)のコースは経験済みだったが、前夜に地図を広げてライン取りや力の入れ具合などコーチの細かい指示を改めて書き込み、イメージトレーニングを繰り返した。スタート直前、再びメモだらけの地図に目を通して勝負のポイントを確認していた。

 いざ、本番。1周目で2位に20秒以上の差をつけた。飛ばしたのは「私の背中が見えたら(後続の選手の意欲に)火がつく。絶対に見せない」と考えたからだ。コーナーでの減速は最小限に抑え、2周目の最後の上り坂は「これくらいのスピードで上り、 平坦へいたん な道に入るのが一番速い」と計算してペダルを踏んだ。

 静岡県出身。趣味程度だった自転車レースで2016年に転倒し、高次脳機能障害が残った。うまく記憶を引き出せなかったり、右半身がしびれたりする中で、半年後に競技を始めた。事故の一部始終は全くと言っていいほど覚えていない。

 「最高の出来だった。静岡で生まれて、静岡で死にかけて、静岡で生き返って、今日。運命みたいなものを感じちゃいます」。一生消えることのない鮮やかな記憶が、心に刻まれた。(平沢祐)

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2330406 0 東京パラリンピック 2021/09/01 05:00:00 2021/09/01 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210831-OYT1I50156-T.jpg?type=thumbnail
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