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手足が動かないギタリスト、パラ開会式で布袋さんと共演…「俺を超えてみろ」といわれ夢中に

  
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 幼い頃に負ったまひの影響で車いすの生活を送る長野市の川崎昭仁さん(53)が先月24日、東京パラリンピックの開会式でギタリストの布袋寅泰さんらと演奏を披露した。念願だった国立競技場の舞台に立った今、「健常者と同じ役割を担える対等な立場として、障害者が様々な活動に分け隔てなく参加できる社会になってほしい」と願っている。

布袋さん(中央)と共演した川崎さん(右)(8月24日、国立競技場で)
布袋さん(中央)と共演した川崎さん(右)(8月24日、国立競技場で)

 長野県東御市生まれ。1歳の頃、原因不明の高熱が続き、今も両手足はほとんど動かない。高校1年生の時、両腕のないギタリストが足で演奏する様子をテレビで見て母にギターをねだった。それまで楽器を試みようと思っても「こういう身体だから」と諦めていたが、勇気をもらい、音が鳴る仕組みを学んでいった。

パラリンピック開会式での演奏を振り返る川崎さん(8月30日、長野市で)
パラリンピック開会式での演奏を振り返る川崎さん(8月30日、長野市で)

 右手の指先でピックを持ち、車いすに座ったままギターを地面と水平に支えて演奏する方法を編み出し、1989年には楽器メーカーが主催するコンテストで「ベストギタリスト賞」に輝いた。健常者のボーカルと2人で活動を続け、ギターを弾いている時だけは障害者に扱われないと感じてきた。

 現在は県社会福祉協議会(長野市)の職員として、県内の学校などで行うパラスポーツ体験や福祉の講座のコーディネートを担当し、自らの体験を語る機会もある。2019年末、パラ開会式の出演者公募を知り、「国立競技場でギターを鳴らすという夢がかなうチャンス」と応募。選考を経て今年4月に出演が決まった。

 演目は布袋さんが書き下ろした「HIKARI」と「TSUBASA」。7月から東京都内に頻繁に通い、メンバーと練習を重ねた。

 開会式の直前、布袋さんから舞台裏で声を掛けられた。「自分が一番かっこいいと思うんだ。俺を超えてみろ」。憧れのギタリストの一言に「思いっきり楽しもう」と感じ、本番では無我夢中で演奏。無観客だったがテレビで生中継された。「障害があっても『何かに挑戦してみよう』と思ってもらえたら」と振り返る。

 1998年長野パラ後、簡易スロープを設置した店が県内でも増えるなど、障害者に配慮する意識は高まったと感じた。再び国内で開催されたパラリンピックをきっかけに、「共生社会」に向けた動きがもう一度広がってほしいと思う。「障害者が特別扱いされない社会になれば」。普段手掛けている「障害者との交流」という仕事自体がなくなる日を夢見ている。

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2336519 0 東京パラリンピック2020速報 2021/09/03 08:26:00 2021/09/06 12:58:03 東京パラリンピック開会式 開会式でパフォーマンスするギタリストの布袋寅泰さん(中央)(24日午後10時35分、国立競技場で)=池谷美帆撮影東京パラリンピック開会式 開会式でパフォーマンスするギタリストの布袋寅泰さん(中央)(24日午後10時35分、国立競技場で)=池谷美帆撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210902-OYT1I50192-T.jpg?type=thumbnail
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