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極めた山田 唯一無二…競泳 50背「銀」

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 東京パラリンピックは第10日の2日、競泳女子50メートル背泳ぎ(運動機能障害S2)で、14歳の山田美幸(WS新潟)が1分6秒98で銀メダルを獲得した。山田は100メートル背泳ぎの銀に続く今大会2度目の表彰台。男子50メートル自由形(運動機能障害S4)の鈴木孝幸(ゴールドウイン)は37秒70で銀に輝いた。鈴木のメダルは今大会5個目、パラ通算10個目となった。

 車いすテニス男女シングルス準決勝で、男子は国枝慎吾(ユニクロ)が英国選手をストレートで破り、2大会ぶりの決勝進出。女子は上地結衣(三井住友銀行)がオランダ選手をストレートで下して初の決勝進出を決め、ともに銀メダル以上が確定した。2日未明に終了した第9日の混合上下肢障害ダブルス3位決定戦は諸石光照(EY Japan)、 菅野すげの 浩二(リクルートオフィスサポート)組が英国ペアをフルセットで破り、銅を獲得した。

独特キックと「最適解」姿勢

競泳女子50メートル背泳ぎで、ゴールに向かって力泳する山田美幸=泉祥平撮影
競泳女子50メートル背泳ぎで、ゴールに向かって力泳する山田美幸=泉祥平撮影

 山田美と鈴木がともに銀メダルに輝き、今大会の日本勢の獲得メダルは計11個となった。女子100メートル背泳ぎ(知的障害)決勝では、福井香澄(滋賀友泳会)が7位。福井と同じ種目に出場した芹沢美希香(宮前ドルフィン)は予選2組6着で決勝に進めなかった。

 タイムに納得がいかず、不満げな表情を浮かべていた予選後とは対照的だった。決勝を終えた山田美は「とても気持ちよく泳げたので、もうアドレナリンがドバドバで」。スタートで頭一つ抜け出し、25メートル付近で抜かれたが、予選より2秒以上速い1分6秒98の2位でゴール。14歳の中学3年生が、今大会2個目となる銀メダルに輝いた。

 両腕がなく、左右の脚の長さが異なる。野田文江コーチの言葉を借りれば、「あの子以外に(障害のタイプが)それらしいアスリートがおらず、比べられない」。だから、山田美は独自の泳ぎ方を考え、磨いてきた。

 長い左脚は「推進力が強い」といい、足裏で水を押し出すように蹴る。一方、「器用に動かせる」という右脚は股関節を外に開いて膝を曲げ、ふくらはぎの外側で水をたたくようにしてスピードを生み出す。体が左右にぶれない安定感は、肩甲骨の周辺をうまく回転させることで保たれている。

 水面から5センチほど頭を出す姿勢は腰が沈み、水の抵抗を受ける。だが、この形には明確な理由があった。

 「背泳ぎより自由形が好き」という山田美にとって、鼻から入る水がストレスだった。鼻せんを試したこともあるが、両腕がないため外れると戻せない。腰の位置が低いと抵抗が増えるとわかっていても、この姿勢が最適解だった。野田コーチは「私たちは一般的なことを言うけど、あの子の体の形なら、これがベスト」と言い切る。

 2016年リオデジャネイロ大会をテレビで見て、レース後の歓声やインタビューを受ける選手たちの笑顔に魅了された。それから5年。特徴を最大限に生かし、唯一無二の泳ぎを作り上げ、二つのメダルを獲得した。「水泳をやっていなかったら経験できない夏休みになった」。初出場のパラリンピックは、最高の思い出になった。(脇西琢己)

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2336157 0 東京パラリンピック2020速報 2021/09/03 05:00:00 2021/09/03 05:00:00 競泳女子50メートル背泳ぎで、ゴールに向かって力泳する山田美幸(2日、東京アクアティクスセンターで)=泉祥平撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210902-OYT1I50212-T.jpg?type=thumbnail
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