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東京パラリンピックは3日、陸上の車いす男子100メートル(T52)決勝が行われ、初出場の大矢勇気(ニッセイ・ニュークリエーション)が銀メダルを獲得した。レイモンド・マーティン(アメリカ)に金メダルを譲ったものの、終盤まで競り合う好レースだった。(読売新聞オンライン)
強豪・マーティンと競り合い
決勝で、大矢は見事なスタート・ダッシュをみせた。車いす半分ほど、他選手よりも前に出て、前半はリードを死守した。だが50メートル過ぎ、左隣のコースを走るマーティンにつかまった。今大会の400メートルや1500メートルで日本の金メダリスト・佐藤友祈とも競り合った強豪は後半に加速し、トップでゴール。大矢も必死でマーティンに食らいつき、車いす1台分ほどの差で走り終え、他選手には抜かれなかった。

大矢のタイムは17秒18で、マーティンとは0秒19差だった。自己ベストには届かなかったが、雨にぬれて記録の出にくい状態のトラックで、粘り強く走った。本人も「今出せる力は発揮できた。マーティン選手に負けたのは少し悔しいけれども、苦手だった中間走では、コーチと一緒に練習で取り組んできた成果を出せた」と振り返った。
大矢は兵庫県出身の39歳。16歳の時に事故で脊髄を損傷して車いす生活になり、2005年に競技を始めた。中長距離から短距離に転向して成績を伸ばし、パラリンピック出場にこぎつけた。
車いす陸上を始めるきっかけを作ってくれた亡き母に、メダルをささげたいという。「本当は金メダルを取って報告したかった。メダルの色が違ってしまったけれども、喜んでくれると思う」。感慨をかみしめていた。