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金・木村「この日って本当に来るんだ」、銀・富田「彼を超えようと努力」…熱き抱擁でたたえ合う

 
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 東京パラリンピックは3日、競泳男子100メートルバタフライ(視覚障害S11)の決勝で、4大会連続出場の木村敬一(30)(東京ガス)が1分2秒57で金メダル、初出場の富田宇宙(32)(日体大大学院)が1分3秒59で銀メダルに輝いた。今大会で日本勢初の「ワンツー・フィニッシュ」を決めた2人は、ゴール直後のプールで抱き合い、健闘をたたえ合った。(読売新聞オンライン・谷口愛佳)

木村に訪れた「この日」

競泳男子100メートルバタフライで、金メダルを獲得した木村敬一(左)と銀メダルの富田宇宙(3日、東京アクアティクスセンターで)
競泳男子100メートルバタフライで、金メダルを獲得した木村敬一(左)と銀メダルの富田宇宙(3日、東京アクアティクスセンターで)

 決勝は、予選1位通過の木村が、50メートルを首位でターンし、そのままリードを守り抜いた。予選2位の富田は、折り返しでオランダ選手をとらえ、後半で抜いて2位でゴールした。

 ついに金メダルを手にした木村は、歓喜の涙を流した。

 「この日のために頑張ってきた。『この日』って、本当に来るんだなと。特にこの1年、いろいろなことがあった。『この日』は来ないんじゃないかなと思っていたこともあるし、それもしょうがないとも思った。こうして、ちゃんと迎えることができて幸せ。記録は落としたし、泳ぎもいいものではなかったけど、何でもいい。今はうれしい」

 先天性疾患のため、2歳で視力を失った木村は、2008年の北京大会が初出場。12年のロンドン大会で、銀と銅のメダルを一つずつ獲得した。前回の16年リオデジャネイロ大会では多数の種目を泳ぎ、銀2個と銅2個を手にしたが、目標だった金メダルには届かなかった。東京大会は、疲労度やメダルの可能性を考えて3種目に絞って出場し、金メダルを狙う姿勢を強めた。そして、本命と位置づけた種目こそ、この日の100メートルバタフライだった。

 二人三脚で歩んできたコーチへの感謝も忘れなかった。「付き合いが長過ぎて……。こんなに(金メダルを取るまで)時間がかかってしまって、申し訳なかったなと思います」。最後に、本音が口をついた。「家に帰って、思い切り泣きたいです!」

競泳男子100メートルバタフライ決勝、金メダルを獲得した木村敬一(左)と銀メダルの富田宇宙(3日、東京アクアティクスセンターで)
競泳男子100メートルバタフライ決勝、金メダルを獲得した木村敬一(左)と銀メダルの富田宇宙(3日、東京アクアティクスセンターで)

富田「あの日じゃなく、きょうのためだった」

 銀メダルの富田は今大会、3個目のメダル獲得だ。この日も人目をはばからずに泣いた。

 「金メダルを目指してきて銀だったから、本当は悔しがらなければいけないのかもしれない。でも、木村君が金メダルをとってくれたことと、そこに続いて僕がゴールできたことが、本当にうれしい」

 木村とは、ライバルとして互いを高めあってきた。「彼が苦労しているところを、ずっと見てきた。リオ大会で金メダルを逃したことは、本当に僕も悔しかった。その隣で一緒に頑張ってきた。彼のライバルとして、彼を超えようと努力してきた」

 その木村と、抱擁を交わす日が訪れた。「ずっとこの瞬間を目指してきたので、こんなにうれしいことはない。今大会、最初に400(メートル自由形)で銀メダルを取った時に『この瞬間のために、自分は障害を負ったのかもしれない』と思ったけど、そうじゃなかった。『きょうなのかな』と思う」

 素晴らしいライバル関係が、日本のパラ競泳の新たな歴史を切り開いた。

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2338988 0 東京パラリンピック2020速報 2021/09/03 21:35:00 2021/09/03 21:52:52 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210903-OYT1I50166-T.jpg?type=thumbnail
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