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陸上・大矢「銀」 「世界へ」亡き母と約束…「3度目の正直」で夢舞台

 
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 陸上男子100メートル(車いす)の大矢勇気選手(39)(ニッセイ・ニュークリエーション)が、亡き母にささげる銀メダルを手にした。「世界を目指せ」と願い続けた母は、ロンドン大会の代表選考会当日に死去。前回大会は自身の病気で棒に振った。3度目の正直で立った舞台で、成長した姿を見せた。(新田修)

陸上男子100メートルの表彰式で銀メダルを掲げる大矢勇気選手(3日、国立競技場で)=鈴木毅彦撮影
陸上男子100メートルの表彰式で銀メダルを掲げる大矢勇気選手(3日、国立競技場で)=鈴木毅彦撮影
亡くなる3日前に闘病中の母・洋子さん(左)を見舞った大矢選手
亡くなる3日前に闘病中の母・洋子さん(左)を見舞った大矢選手

 「勇気が世界を目指せるように頼むわ」。2011年7月10日、大矢選手とは一回り近く年の離れた兄の忠洋さんにそう言い残して、母・洋子さんは62歳でこの世を去った。大矢選手は出場予定だったロンドン大会の選考会を棄権した。

 兵庫県立西宮香風高(定時制)1年の時、ビル解体の仕事中に転落して歩けなくなったが、洋子さんは「ずっとそばにおるで」と励ましてくれた。

 05年に日常用車いすで陸上大会に出場し、100メートルで優勝。全国大会に進んだが、競技用車いすの選手ばかりで、大差での最下位に沈んだ。洋子さんに頼み込み、50万円する競技用車いすを買ってもらった。

 週2、3回、2人で競技場に通った。素人の洋子さんはトラックを走る大矢選手を見守るだけだが、時折、「世界を目指して頑張れ」と励ましてくれた。そんな生活は洋子さんに肺がんが判明する09年まで続いた。

 洋子さんが亡くなり、「世界」は兄弟の目標になった。練習パートナーを忠洋さんに代え、競技に没頭したが、再び試練が訪れた。障害の影響で尻の感覚がないまま、長時間車いすで練習した影響で床ずれができ、骨髄炎を発症。座骨を削る手術を受け、14年から3年近く競技ができなかった。

 失意の中で迎えた16年のリオデジャネイロ大会。ライバルたちの姿をテレビで観戦しながら、母との約束を思い出した。「しっかりと目に焼き付ける。東京では絶対勝つんや」

 19年の世界選手権で出場権を獲得。「メダルへの思いは人一倍強い」との自負を持って今大会に臨んだ。

 中盤まで先頭を走り、ゴール後はガッツポーズも飛び出した。「本当は金メダルを取って母親に恩返ししたかったが、たぶん喜んでくれているんじゃないかな」

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2339627 0 東京パラリンピック 2021/09/04 05:00:00 2021/09/04 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210904-OYT1I50020-T.jpg?type=thumbnail
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