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レジェンド国枝、涙の「金」…王座に返り咲き「こんな日が来るなんて」

 
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 東京パラリンピックは4日、車いすテニスの男子シングルスで、5大会連続出場の国枝慎吾(ユニクロ)が2大会ぶり3度目の金メダルに輝いた。決勝は6―1、6―2でトム・エフべリンク(オランダ)にストレート勝ち。37歳のレジェンドが、さえた技巧で28歳の強打を封じ、悲願の王座に返り咲いた。

圧巻の8ゲーム連取

決勝でトム・エフベリンク(オランダ)と戦う国枝慎吾(4日、有明テニスの森で=横山就平撮影
決勝でトム・エフベリンク(オランダ)と戦う国枝慎吾(4日、有明テニスの森で=横山就平撮影

 ショットの速さだけを比べれば、大柄で9つ年下の相手が上。国枝は、ショットの精度と機敏なチェアワークで勝負した。

 第1セットの第1ゲームで、いきなりブレイクを許したが、落ち着いていた。次のゲームで、車いすテニス界で屈指とされるエフべリンクの高速サーブを、コースを読んでしっかり拾う。正確なバックハンドのショットを軸に相手を動き回らせ、最後はリターンエースでブレイクに成功した。早くも試合の主導権を握ると、第2セットの序盤まで一気に8ゲームを連取した。

 最後まで主導権を渡すことなく、前日のダブルス3位決定戦で敗れた相手ペアの一人に雪辱。サービスエースは結局、3本しか許さなかった。

車いすテニス男子シングルス決勝で勝利の瞬間、目頭をおさえる国枝慎吾(4日、有明テニスの森公園で)=菅野靖撮影
車いすテニス男子シングルス決勝で勝利の瞬間、目頭をおさえる国枝慎吾(4日、有明テニスの森公園で)=菅野靖撮影

 最後はバックハンドで深々と打ち込み、相手の返球がネットにかかった。優勝の瞬間、国枝は泣いた。顔を手で覆い、人目をはばからず涙を流した。いつもならガッツポーズとともに何度も絶叫する男が、しみじみと喜んだ。

 「まだ夢の中にいるような気持ち。この日のためにすべてを捧げてきて、それが報われた。前回大会の後は何度も引退を考えた。あの頃は、東京大会でこんな日が来るなんて、信じられなかった」

フォーム改造、見せた「想像を超えたプレー」

 2016年リオデジャネイロ大会のシングルスでは、3連覇を逃したばかりか、メダルにも届かなかった。「記憶が封印されて思い出せないくらい、つらかった」という。

 ラケットを振る軌道を、19年に変えた。競技のレベルが上がり、ライバルたちが力をつけてきたことに危機感を覚えての決断だった。「若いライバルを速いテンポで動かし、考える時間を与えないことが大事」。ショットの力強さを増し、戦績も再び上向いた。コロナ禍で東京大会が1年延期されても、20年の全米オープンを制するなど奮闘を続け、世界ランキング1位で東京大会を迎えた。

 「見る人の想像を1歩2歩、超えるプレーをしたい」と、開幕前に語った。日本選手団の主将として、車いすテニスの顔として、そしてパラスポーツ界で数少ないプロのアスリートとして、競技の魅力を世界に発信したいとの思いを込めた発言だった。

 その通りの戦いを決勝のコートで見せた。東京大会で、レジェンドが輝いた。(読売新聞オンライン)

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2341220 0 東京パラリンピック2020速報 2021/09/04 23:03:00 2021/09/05 11:53:32 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210904-OYT1I50138-T.jpg?type=thumbnail
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