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元気満開ヒロイン・里見…バドミントン日本勢がメダル量産

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 東京パラリンピックは4日、新競技のバドミントンで日本勢がメダル5個を獲得。女子シングルス(車いすWH1)で里見紗李奈(NTT都市開発)が金。同(上肢障害SU5)では鈴木亜弥子(七十七銀行)が銀、杉野明子(ヤフー)が銅。同(車いすWH2)は山崎悠麻(NTT都市開発)、女子ダブルス(下肢障害SL3―上肢障害SU5)は伊藤則子(中日新聞)、鈴木組がいずれも銅。

 日本勢は金1個、銀1個、銅3個のメダルを獲得した。男子シングルス(車いすWH2)の梶原大暉(日体大)と、女子ダブルス(車いすWH)の里見、山崎組はいずれも準決勝を突破し、銀メダル以上を確定させた。男子ダブルス(同)の梶原、村山浩(SMBCグリーンサービス)組と、混合ダブルス(下肢障害SL3―上肢障害SU5)の藤原大輔(ダイハツ)、杉野組は3位決定戦に回った。

気迫の叫び 逆転で頂点

バドミントン女子シングルスで、金メダルを獲得した里見紗李奈=池谷美帆撮影
バドミントン女子シングルスで、金メダルを獲得した里見紗李奈=池谷美帆撮影

 金メダルが決まった瞬間、里見は左手を握りしめ、あっという間に目から涙があふれた。「信じられないくらいうれしい。夢みたい。この日の、この瞬間のために頑張ってきた」。公言してきた通り、今大会で採用された競技で初代女王となった。

 決勝は、目標としてきた選手でもあるスジラット・プッカム(タイ)に正確なショットを前後に打たれ、第1ゲームを14―21で落とした。「弱気になってしまった」と里見。第2ゲームは中盤で9連続失点を喫して15―18となり、ここで吹っ切れた。「やるしかない。自分で自分に声をかけ、気持ちを盛り上げた」。得点が決まる度に叫び、気迫を前面に出すと、5連続得点で再び逆転に成功。このゲームを奪うと、最終ゲームも流れを渡さなかった。

 高校3年だった2016年5月に交通事故に遭い、脊髄を損傷。車いす生活となり、人生が変わった。父親の勧めで競技を始めたのは17年。練習する度に車いすの操作は上達し、あっという間に国際大会で戦うようになった。

 2019年の世界選手権では、決勝でスジラットを破り、初めて世界一になった。金メダル候補として追われる立場になり、戸惑いもあった。そんなとき、日本代表の古屋貴啓コーチの言葉が耳に残った。「(頂点からの)この景色は君にしか見えない」。東京大会に向け、再びスイッチが入った。

 事故に遭う前は、アルバイトに励む普通の高校生だった。それが今、表彰台の真ん中で、金メダルを首に掛け、君が代を聞いている。「私が健常者の頃、想像できなかった場所にいる。これから先は、車いすになって良かったと思える人生を送りたいと思っていた。パラリンピックでの優勝は、車いすで良かったと思えることの一つになった」(帯津智昭)

杉野、山崎、伊藤・鈴木組「銅」

日本人対決制す

銅メダルの杉野明子
銅メダルの杉野明子
銅メダルの山崎悠麻
銅メダルの山崎悠麻
銅メダルの伊藤則子(左)、鈴木亜弥子組
銅メダルの伊藤則子(左)、鈴木亜弥子組

 「しっかり勝ちきれてメダルを取れたことにホッとしている」。杉野が日本勢対決を制し、銅メダルを手にした。

 出生時に左腕まひの障害を負った30歳の杉野。ベテランらしい冷静な判断が光ったのは、第1ゲームを先取した後の第2ゲームだ。風の影響でシャトルが飛びすぎ、「コントロールが全然利かなくなった」と、いきなり8点を連取された。

 だが、焦らなかった。「次に切り替えよう」と考え、このゲームを15点差で落としても動じない。第3ゲームは、「自分からどんどん攻めて、足を動かして、スピードを上げてやっていこうと思った」。序盤の連続得点で突き放した。

 互いに手の内を知り尽くす亀山との対戦に難しさはあったが、「ずっとやってきた仲間だからこそ、正々堂々戦えた」と杉野。「明日、またメダルを取って、最後に笑顔で終わりたい」。最終日の混合ダブルス3位決定戦へ向け、弾みをつける勝利だった。(脇西琢己)

  女子ダブルスで銅メダルの伊藤 「この年(45歳)でパラリンピックを目指すと思っていなかった。障害や年齢に関係なく、可能性はあると伝えられたなら、よかった」

  女子シングルス銅メダルの山崎 「こんなに重いメダルをもらえて、すごくうれしい。やってきたことが形になってよかった」

鈴木 奮闘「銀」

1日2メダル「たぶん引退」

バドミントン女子シングルスで、銀メダルの鈴木亜弥子
バドミントン女子シングルスで、銀メダルの鈴木亜弥子

 34歳の鈴木はシングルス、ダブルスの計4試合で全てを出し切った。「今まで5年間やってきたことがメダルという形になって、とてもうれしい」。決勝で完敗した悔しい「銀」と、3位決定戦を制した喜びの「銅」。一日で二つのメダルを手にした。

 シングルスで世界ランキング1位の鈴木が、2位の中国選手の正確で強烈なショットに圧倒された。2019年世界選手権で敗れた後、コロナ禍で練習が制限された中でもフットワークを強化し、雪辱を期していた。だが、相手は想像を上回る成長を遂げていた。

 生まれつき右腕が不自由で、肩までしか上がらない。「私の中では、これが普通」。高校時代は健常の選手たちと一緒にプレーし、04年全日本ジュニア選手権の女子ダブルスで準優勝。大学3年の時、父親の勧めでパラに舞台を移した。

 09年の世界選手権、10年のアジアパラ競技大会を制し、「トップ2の大会で優勝したなら、もういいかな」と引退。しかし、東京パラの開催が決まり、期待する周囲の声を受けて、16年に現役復帰に踏み切った。

 覚悟を持って臨んだ大舞台は、終わった。「今後はたぶん引退します。納得した形ができているので、これでいいかな」。表情には充実感があふれていた。(帯津智昭)

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2341481 0 東京パラリンピック2020速報 2021/09/05 05:00:00 2021/09/05 09:13:51 バドミントン女子シングルス、タイ選手を破り金メダルを獲得した里見紗李奈(4日、国立代々木競技場で)=池谷美帆撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210905-OYT1I50015-T.jpg?type=thumbnail
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