文字サイズ

    発達障害児の母、かの子さんへ (下)

    成長急がず少しずつ

     発達障害児の子育てに悩むかの子さん(31)の話への反響編を続けます。今日は、発達障害を抱えるご本人の便りです。まず、発達障害の一つ、アスペルガー症候群と診断された大阪のお姉さん(34)と妹さん(30)の話から。

     子供の頃、この障害のことは知られておらず、お二人は「変わった子」として、言動が理解されないつらさに耐えていました。妹さんのメールです。

     〈周りとどう話したらいいのかわからない。小学校ではいじめられました。時間割、宿題を忘れる。集中できない。いつか普通になれると信じ、社会になじもうとしました〉

     高校卒業後に就職しましたが、困難が続きます。

     〈どんなに注意しても、言われたことを忘れ、失敗します。緊張、集中しすぎた結果、6年前、職場で倒れ、精神疾患になりました〉

     心が悲鳴を上げたのです。その治療の中で、アスペルガー症候群が判明し、〈生きづらさの原因を知ることが出来た〉と感じました。

     それから、障害の特徴をふまえた工夫をするようになりました。

     〈すぐに忘れるので、スマートフォンに予定を入れます。体調や気分も入力し、見返して傾向などを管理することで、失敗しなくなりました。今後も様々な症状と向き合っていくつもりです。長い道のりですが諦めずに生きたいと思います〉

     重い言葉です。

     お姉さんも、妹さんの少し前に診断を受けています。

     〈子供の頃は迷路にいる感じでした。表情が読み取れず、笑いかけられると、相手に悪意があると思って警戒します。冗談と本気が区別できないので、真に受けたり、不安でパニックになったりもします。会話には、伝えたいことを表す絵や写真の入ったカードが役立ちます。今は支援を受けながら、スーパーで働いています〉

     家族全員で障害に向き合い、暮らしています。お二人からのメッセージです。

     〈苦手なことも、少しずつ伸びてきます。時間はかかりますが、必ず伸びます。急がないことです。かの子さんや、長男さんの健康と幸せを祈っています〉(妹さん)

     〈これから専門施設に通われるとのこと。かの子さんにとっても、息子さんにとってもレベルアップのチャンスだと思います〉(お姉さん)

     もう一人ご紹介します。この春親元を離れ、関西の私立大に進学した男性(18)です。

     〈小学校では予定外のことがあると固まって動けなくなり、先生とも度々衝突しました。小学5年の時にアスペルガー症候群とわかりましたが、勉強は出来るし健康なのでピンと来なかったです〉

     心がけたことは――。

     〈小説には登場人物の気持ちが明示されているので、たくさん読んで、『この会話は、こう思われるんだったな』と思い出して生活に応用しています。これでコミュニケーションが改善されました。予定変更に弱いなどの症状はありますが、自分なりの方法で乗り越えていきます〉

     下宿生活は大きな決断です。集団行動への不安はありますが、サークル活動などにも挑戦するそうです。そうして少しずつ世界を広げていくのを、ご実家の家族が見守っています。

     かの子さんのご長男(3)も、今日が保育施設の入園式。先日電話したとき、かの子さんは、巾着袋やエプロンを縫うなど準備に大忙しでした。「同じ経験をされたみなさんの便りは心強く、新しい環境への不安が少し和らぎました。大切に保管して参考にします。いつか息子に、『これだけの支えがあったんだよ』って、見せたいと思います」と、おっしゃいました。みなさん、本当にありがとうございました。

    (大達大二)

    2014年04月07日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
    リンク