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    海鳥の幼鳥 危険な内陸飛行

    新潟・粟島のオオミズナギドリ、経験不足? まっすぐ南下

     新潟県の離島・粟島あわしまで生まれた海鳥オオミズナギドリの幼鳥は、南の越冬地に渡るのに、危険の多い内陸部の上空を飛んでいくことが名古屋大の調査でわかった。成鳥は通常、天敵の多い内陸部を避け、本州を迂回うかいして安全な海上を飛んで渡っていく。幼鳥は経験が浅いため、まっすぐ南を目指すとみられる。

     海鳥が日本列島を通過することが確認されたのは初めてという。

     粟島は国内有数のオオミズナギドリの繁殖地。国の天然記念物にも指定されている。同大学の依田憲教授(生物学)らは2016年、粟島で幼鳥30羽の背に全地球測位システム(GPS)の装置を付け、飛行ルートを調べた。

    • オオミズナギドリ(新潟県の粟島で)=依田教授提供
      オオミズナギドリ(新潟県の粟島で)=依田教授提供

     その結果、いずれの幼鳥も4、5時間かけて本州を越え、愛知県の濃尾平野や静岡県の伊豆半島、宮城県付近に至り、そこから太平洋に飛び立っていた。17年も調査したが、結果は同じだった。

     海上は餌が豊富で、風にのれば遠くまで滑空でき体力をあまり消耗しない。一方、内陸部はカラスなどの天敵が多い上、木々が邪魔になり、いったん降りてしまうと再び飛び立つのが難しい。実際、幼鳥は巣立ってから1か月以内に6割が命を落とすという。

     依田教授らの過去の調査では、成鳥が粟島から南へ向かう時は、津軽海峡や対馬海峡を経由して太平洋に出ていることがわかっていた。幼鳥たちは親が旅だった後に、自分たちだけで渡っていくため、飛行ルートは知られていなかった。国内の他の繁殖地で生まれた幼鳥の飛行ルートまではわからないが、依田教授は「経験豊富な成鳥は安全なルートを選ぶが、幼鳥は体に備わった何らかのコンパスだけに頼って、単純に南下するのだろう」と推測している。

     研究成果は昨年11月の米科学誌「カレント・バイオロジー」に掲載された。

     山本裕・日本野鳥の会自然保護室チーフの話「以前から内陸部でオオミズナギドリが観察されることがあったが、強風にあおられて迷い込んだのだろうと考えられてきた。今回の調査結果は驚きだ」

    ◇オオミズナギドリ 体長50センチ、両翼の幅は1.2メートル。春から秋にかけ日本近海の離島で繁殖し、南半球の越冬地に渡る。粟島では毎年8万羽が繁殖し、4万羽ほどが巣立つ。京都府舞鶴市にも繁殖地があり、府の鳥に指定されている。

    2018年02月09日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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