<速報> 大坂なおみ、全豪4強に…世界ランク3位以上確定
     
    
    文字サイズ

    お好みソース(オタフクソース)

    おいしさ追求健康な味付け

     オタフクソースの「お好みソース 」は、お好み焼きに欠かせない調味料として長く支持されてきた。近年、食生活の多様化や健康意識の高まりなど、食を巡る環境は様変わりしている。9月に発売した「塩分50%オフ」は、そんな市場の変化をにらんだ新商品だ。(田畑清二)

    ギャップ

     「味が薄いんで、電子レンジでチンして、水分を飛ばしてから我慢して使ってるんですよね」。開発課チーフスタッフの谷田希美(30)は、2017年2月に開いたグループインタビューでこんな声を聞き、胸が痛くなったことを覚えている。

     定番は発売から60年を迎える「オタフクお好みソース」。開発チームは「本格」と呼ぶ。これ以外に、唐辛子をブレンドした「辛口タイプ」、イスラム教の戒律に沿ったハラール対応の「業務用タイプ」などを発売してきた。

     2月のインタビューは、カロリーも塩分も半分にして13年に発売した「ダブルハーフ」のユーザー計40人を集め、新商品開発の参考にしようと開いたものだった。

     谷田が驚いたのは、作り手側とのギャップだった。消費者の健康志向を意識し、味もそうだが、見た目も薄くしていた。だが、ユーザーの評価は「おいしくなさそうに見える」と厳しく、緑色のパッケージも不評だった。

     結果を聞いた商品企画課長の川相庸一(42)は「健康志向であっても『おいしい』は絶対条件だ」と考え、開発のキーワードは「おいしさはそのままで」に決めた。塩分を半分にした上で、味は「本格」に近い新商品「塩分50%オフ」の開発を目指した。

    • 塩分を大幅に減らしたお好みソースを開発した谷田希美さん(左)と川相庸一さん(広島市西区で)=野本裕人撮影
      塩分を大幅に減らしたお好みソースを開発した谷田希美さん(左)と川相庸一さん(広島市西区で)=野本裕人撮影

    社員も満足

     当初は、ダブルハーフをベースに開発を進めた。コクを出そうとオイスターソースを多くしたり、甘みを増すため、こだわりの原材料であるデーツを増量した。だが「本格」との味はかけ離れるばかり。2か月ほどで「迷子になった」(谷田)結果、イチから出直すことに決めた。

     ソースの味のカギになるのは野菜と果物だ。原料に入っている桃を抜いたりもしたが、谷田は「使っている野菜や果物が全部入っていないと本格ソースのコクと甘さは出ない」と思い返した。

     オタフクを支えてきたのは「現場に行き、現場を見て、現状を知る」という創業当初からの「三現主義」だ。

     試食のお好み焼きを何度も焼いては、色んな人に食べてもらった。微調整を繰り返し、本社が開く「お好み焼き教室」の参加者や、工場の従業員をつかまえては味見をしてもらった。最終的には、塩味を引き立てる「マル秘」の香辛料を加え、味を固めた。

     季節は夏になろうとしていた。オタフクが主催する料理教室に訪れた人たちに試食してもらうと、今度は逆に7割の人が「塩分50%オフ」の方がおいしいと答えた。お好み焼きに精通した社員でも「本格」と「塩分50%オフ」を間違う人が続出した。

     お好み焼き用ソースの市場規模は縮小傾向にある。一人暮らしや共働き世帯が増え、家族でお好み焼きを食べる機会も減った。それでも川相は信じる。「野菜を多く使うお好み焼きは健康志向に合っている」。おいしさの追求に終わりはない。(敬称略)

     

    クリップ オタフクが、お好み焼き用のソースを発売したのは1952年。57年には家庭向けの「お好みソース」を売り出した。現在は「大人の辛口」「コクと旨み」など10種類を販売しており、海外でも欧米や東南アジアなど50か国以上で売られている。元々、お好み焼きにはウスターソースが使われていたが、お店から「さらさらしてすぐに鉄板に流れ落ちてしまう」という声に応え、野菜や果物の食物繊維の特徴を生かし、とろみのあるソースを作り上げた。

     

    海外売り上げ10%目指す

    佐々木直義(ささき・なおよし)社長 53

    • オタフクソースの佐々木直義社長(広島市西区で)
      オタフクソースの佐々木直義社長(広島市西区で)

     お好み焼きは油をよく使うというイメージを持つ人もいるが、実はそうではない。料理の仕方によっては、1日で必要な野菜の半分や3分の2をとることも可能だ。お好み焼きを自宅で焼く機会は減りつつあるが、こうしたことを知ってもらって、お好み焼きの普及に取り組みたい。

     国内でも売り上げを伸ばすには「簡単・便利」がキーワードになる。ミックス粉や天かすなどをひとまとめにした商品は人気がある。おいしいのは当たり前で、そこに健康や簡便さという要素をプラスできれば、伸ばすことができる。シェア(占有率)が10%台にとどまっている東日本を中心に力を入れたい。

     一方で、今後は海外市場の重要性も増していく。海外売上高比率は6~7%だが、2020年度には10%に引き上げたい。昨年はマレーシアで合弁会社を設立した。日系スーパーや料理店から注文が多く、来春をめどに5000万円ほどの設備投資をして生産量を3倍に引き上げる。

     台湾や韓国にも、お好み焼き店ができている。日本に来て食べた人が現地でお店を開くケースがあるという。ソースを作っている日本の会社として「オタフク」の名前を世界中に広めていきたいと思っている。

     

    こんな会社 1922年、酒・しょうゆの卸小売業の「佐々木商店」として創業。38年に醸造酢、50年にソース作りに乗り出した。現在、オタフクホールディングス(HD)傘下に、オタフクソースのほか、ケチャップなどを作るユニオンソース(栃木県)、お好み焼きの材料を取り扱うお好みフーズ(広島市)など8社が入る。2017年9月期のグループ連結売上高は237億円。従業員数は597人。

    2017年11月01日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
    リンク