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    GYOZA OHSHO(王将フードサービス)

    女性も餃子 オシャレに 

     

     「餃子ギョーザの王将」で知られる王将フードサービスが女性客を狙った新ブランド店「GYOZA OHSHO」 に注力している。「王将らしからぬ」店構えやメニューが支持され、OLやカップルらでにぎわっている。(都築建) 

     

    まるでカフェ 

    • 新ブランド店「GYOZA OHSHO」に携わった池田勇気さん(京都市中京区で)=前田尚紀撮影
      新ブランド店「GYOZA OHSHO」に携わった池田勇気さん(京都市中京区で)=前田尚紀撮影

     黒を基調とした落ち着いた雰囲気の店構え。店内中央には木目調の大テーブル。個室やバーカウンターのほか、屋外には立食用のテラスもあり、着席しようとすると女性店員がイスを引いてくれる。

     「餃子のとろ~りチーズチリソース」など独自メニューを用意し、ワインやカクテルも提供する。和風の食器、女性に適切な量と盛りつけなど細部にもこだわる。

     新ブランド1号店となる烏丸御池店は、「安い、うまい、速い、ボリューム満点」を売り物にした既存店とは全く異なる店舗だ。プロジェクトを統括する販売促進部副部長の池田勇気(37)は、「店に入ったお客さんが驚く表情を見ると、ものすごくうれしい」と話す。

     プロジェクトは2015年夏にスタートした。

     きっかけとなったのは、社長の渡辺直人(62)が、「餃子の王将で食事をしたいけど、入る勇気がない」という女性の声を聞いたことだ。

     既存店の「餃子の王将」は、39都道府県で700店以上展開するまで拡大したが、少子高齢化などを受け、10年頃から成長が減速しつつあった。顧客の7割が男性で、再び成長路線に乗せるには、女性客を開拓する必要があった。 

     

    定番はそのまま 

     

     「女性がおなかいっぱい食べて、語らい合える店を作ろう」

     渡辺の号令を受けて、外部のデザイナーや料理研究家らを招いたプロジェクトチームが結成された。

     デザイナーの折原美紀(53)は、「カップルで来たり、女子会したりできる店作り」を掲げた。カフェにいる感覚で食事や会話を楽しめるようにと、デザインを固めていった。渡辺はほとんど口を出すことがなかったが、ロゴの変更を提案した時だけは、「それだけはアカン。何年もこれでやってきた」と怒って突き返した。半世紀かけ育てたブランドに誇りがあるからだ。

     ただ、折原も「京都で王将を知らない人はいない。だからこそロゴを変えればインパクト(衝撃)も大きく注目される」と引かなかった。何度も直訴する折原の熱意にほだされ、渡辺も新ブランド「GYOZA OHSHO」での開店にかける腹をくくった。

     池田は女性に人気の飲食店を回り、デザインや厨房ちゅうぼうの設計、メニューなどを研究した。新メニュー作りでは、凝った料理を提案する料理研究家に対し、「10分間での提供」にこだわり、落としどころを探った。既存のメニューをやめようという声もあったが、「勝ちパターンは譲れない」と、餃子や焼きめしなどの定番は残すことも決めた。

     16年3月の開店時、約300人が列を作り、閉店まで満席の状態が続いた。現在もお昼時は満席になることが多く、女性比率は6割に上る。新ブランド店を参考に出店した既存店は、女性客の比率が4割に上る効果も出ている。

     新ブランド店でも一番人気は自慢の餃子だ。池田は、「女性も王将の餃子を食べたかったことが分かった。女性に王将の世界へ入ってもらうきっかけとなるブランドにしたい」と意気込む。(敬称略) 

     

    GYOZA OHSHO 

     

     2016年3月に1号店「烏丸御池店」(京都市中京区)を出店。その後、兵庫県芦屋市や京都市下京区、さいたま市大宮区、愛知県日進市など計5店を展開している。

     各店では内装に木材をふんだんに使って、和の雰囲気を演出する。メニューには料理研究家が開発に協力した低カロリーの料理もそろう。客単価は現在1100円程度だが、今後酒類やデザートを充実し「2000円を超える」(渡辺直人社長)ことを目指している。

     

    人件費増 将来への投資 

     

    渡辺直人社長 62 

     

    • インタビューに答える王将フードサービスの渡辺直人社長
      インタビューに答える王将フードサービスの渡辺直人社長

     創業時から王将の客層は男性主体だったが、「GYOZA OHSHO」で女性も気軽に食べられるようになった。関西を中心に2018年は10店程度まで増やしたい。

     海外は4月に出店した台湾1号店が好調で、年2億円を売り上げる勢いだ。05年に進出した中国では、日本の王将の味をそのまま持ち込んだため、地元の好みに合わなかった。失敗を教訓に台湾では何十回と味見し、現地の食文化に合わせた味にできた。今後は台湾全土での展開を目指す。

     今年で創業50周年を迎えるが、この間、人口構成や食生活は大きく変わった。多様な販売方法を開発する必要があり、11月から試験的に出前を始めた。

     13年に社長に就き、最優先で取り組んだのは労働環境の整備だ。(射殺された)大東隆行前社長が一番悔やんでいたのは王将が「ブラック企業」と思われたこと。賃金の未払いを指摘され、きちんと給料を払うよう人事部長に指示し、調査が終わった時に事件が起きた。

     14年度から3年連続でベースアップを行い、営業時間も短縮した。14年度に7・8%だった離職率は16年度は5・7%まで改善した。3、4年で約20億円の人件費増加となったが、将来への投資だ。

     

     

     

    こんな会社 

     

     1967年12月24日に、加藤朝雄氏が、京都市中京区の四条大宮に1号店を出店して創業した。74年に「王将チェーン」を設立。90年に現在の商号となった。

     店舗は、国内に500の直営店と、233のフランチャイズ店(17年11月末現在)がある。海外は台湾に2店。2017年3月期の売上高は750億7800万円で、従業員数は2213人(9月末現在)。

    2017年12月20日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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