神戸プリン(トーラク)

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神戸プリンの開発に携わった渡部芳朗さん(右端)ら(神戸市東灘区で)=枡田直也撮影
神戸プリンの開発に携わった渡部芳朗さん(右端)ら(神戸市東灘区で)=枡田直也撮影

販路限定土産の定番に 

 

 洋菓子メーカーのトーラクが1993年に発売した「神戸プリン 」は、神戸土産の定番として出張客や観光客らに愛されている。なめらかな口溶けや後味のさわやかさに加え、赤いひもが付いた濃緑のおしゃれな手提げ袋も人気だ。比較的近隣の駅や空港などの店舗で扱い、あえて販路を絞る手法により、新鮮なイメージを保ち続けている。(井戸田崇志) 

 

常温で保存 

 

 誕生のきっかけは89年、当時の社長が神戸市幹部から投げかけられた一言だった。「広島県のもみじまんじゅうのように、地元でしか買えない土産が神戸にはない」。すぐさま社内でプロジェクトチームが発足し、神戸ならではの土産の開発が始まった。

 チームの一員だった渡部芳朗(63)(現在は開発部門長)は「目指したのは若い女性がターゲットの土産用プリン。従来にないジャンルの商品を創ろうと考えた」と振り返る。

 開発は難航した。土産物は買ってから帰宅するまでの時間が長いため、冷やさずに常温で保存できる商品を目指した。プリン作りでは牛乳や卵、砂糖などが材料のカスタード(プリン液)を加熱して固める。常温でも品質が劣化しないよう殺菌温度を高くすると、口触りが悪くなり、ふんわりした食感が出ない。

 このため、材料一つひとつの配合割合や加熱時間を微妙に変えるなど、様々なパターンを試した。最終的に生クリームを加え、なめらかで崩れにくいプリンに仕上げることに成功した。神戸ワインを入れることで、加熱による卵臭さを抑える製法も考案した。 

 

派生商品も誕生 

 

93年に売り出すと、おいしくておしゃれな神戸土産としてヒットした。主に兵庫県や大阪府の土産店、主要駅の売店、高速道路のサービスエリアなどで売っている。引き合いは多いものの、営業担当の樋口弘之(43)は「商品の希少性を落としたくない」と、販路拡大には消極的だ。それでも2017年度の販売数量は、10年度よりも6割増えた。

 発売当初と同じ味や製法を守り続けているが、常に新鮮なイメージを打ち出さなければ、ブランドの魅力を維持できない。そんな問題意識から、派生商品の「神戸プリン プレミアムバニラ」が生まれた。 

 

味の追求続ける 

 

 当初はJR西日本の主要駅の売店で扱う限定品として、16年夏に発売した。売れ行きが目標を大きく上回り、17年に通常販売を始めた。商品化を企画したもと佳奈子(37)は、「一歩間違えると、定番ブランドを傷つけかねない難しい商品だった」と明かす。抹茶味にする案などもあったが、口溶けの良さを引き立てるため、カスタードなどにバニラを加えることにした。

 トーラクは現在、看板商品の神戸プリンを含めて、プリンだけで30種類以上を手がけている。生産担当の竹中啓二(47)は「全て同じ工場で生産しているが、原料を混ぜる時間など、製法は商品ごとに全く異なる」と話し、おいしいプリンを追求し続けている。(敬称略) 

 

 

神戸プリン 

 1個入り(税抜き250円)から15個入り(同3450円)まで5種類のセットがあり、別添のカラメルソースをかけて食べる。常温で保存できるが、冷蔵庫で冷やすとおいしさが増すという。1か月に平均13万セットが売れている。派生商品に、バニラの華やかな香りを際立たせた「神戸プリン プレミアムバニラ」(4個入り・税抜き1200円)や、洋酒で深みのある味わいを加えた「おとなの神戸プリン」(同1100円)などがある。

 

 

トーラクの佐原克人社長
トーラクの佐原克人社長

 

佐原克人(さはら・かつと)社長58 

 

多様なスイーツ需要取り込む 

 

 日本のように、多種多様なプリンがコンビニエンスストアやスーパーに並んでいる国はほかにない。当社はコーヒーチェーン大手向けのプリンを製造しているが、価格が300円以上と比較的高いのに人気だ。

 プリンは売り上げが見込める商品だけに、メーカー間の競争が激しい。自社ブランド「神戸シェフクラブ」のプリンを売り場に置いてもらうため、スーパーなどに営業をかけているが、それだけでは経営は安定しない。洋菓子チェーンや小売り大手のプライベートブランド(PB)向けなど、様々なプリンを手がけており、常温からチルド(低温)まで対応できる。「こういうプリンを売ってみませんか」という提案にも力を注いでいる。

 最近は甘い物が好きな男性が増えており、飲酒後の「締め」にスイーツを食べる人も多い。そういったニーズにも対応していく。外食業界ではデザートのメニューを充実させる動きが広がっており、業務用のクリームの販売拡大も見込める。プリンを中軸として、多様なスイーツ需要を取り込みたい。 

 

 

こんな会社 

 1960年に大阪市で、業務用クリームを製造する「カマヤ乳業商会」として設立され、67年に「東洋製酪」に社名変更。89年に本社を神戸市東灘区に移し、92年に現在の会社名になった。「神戸シェフクラブ」「カップマルシェ」などのスイーツブランドを展開する。食用油脂大手、不二製油グループ本社の完全子会社で、2018年3月期の売上高は90億円、従業員数は337人(4月1日現在)。

51642 0 ヒット&ロングラン 2018/11/28 15:00:00 2018/11/28 15:00:00 2018/11/28 15:00:00 神戸プリンについて話し合う開発担当者ら(11日、神戸市東灘区で)=枡田直也撮影2018年10月11日撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181129-OYTAI50007-T.jpg?type=thumbnail

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