かにカニ日帰りエクスプレス(JR西日本)

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「かにカニ日帰りエクスプレス」の今後の展開を話し合う岩城弘明・近畿統括本部営業課長(右から2人目)ら(大阪市淀川区で)=浜井孝幸撮影
「かにカニ日帰りエクスプレス」の今後の展開を話し合う岩城弘明・近畿統括本部営業課長(右から2人目)ら(大阪市淀川区で)=浜井孝幸撮影

手軽な旅冬の味覚満喫 

 

 手頃な料金でカニをたらふく食べ、温泉でくつろぎたい――。庶民のささやかな夢をかなえてくれるのが、JRの往復切符とカニ料理、温泉がセットになったJR西日本の日帰り旅行プラン「かにカニ日帰りエクスプレス 」だ。1シーズン(11月~翌年3月)あたり8万~12万人が参加するヒット商品に育ち、発売から20年を迎えた今も人気は衰えていない。(三島浩樹) 

 

ヒットの確信 

 「何で往復6時間もかけて日帰りせなあかんの?」

 JR西日本が「かにカニ」を売り出したのは1998年。販促活動を担当していた室博(61)(現鉄道本部営業本部長)の周囲では、かんばしくない反応もあった。日本海を代表する冬の味覚とはいえ、大阪などの飲食店でも食べられる。

 しかし、室には自信があった。同じ98年の春、和歌山県白浜町のホテルと連携し、伊勢エビとタイの料理をセットにした日帰りプランを試験的に企画した。「とことん料理にこだわり、何度も作り直して最高のメニューを提供した」という。2シーズン合計で約5000人が参加する人気ぶりだった。この成功体験が「料理がメインの旅行は売れる」との確信につながった。 

 

写真で勝負 

 当初から提携先に名を連ねる「西村屋ホテル招月庭」(兵庫県豊岡市)支配人の芳賀はが博人(54)は、「他の旅行会社やバスツアーの客を含めて、カニの時期は月に1500~2000人の日帰り客が来る」と話す。

 常連客にも喜んでもらえるよう、料理の内容を工夫し続けている。3~4年前からは、ブランド価値を示すタグ付きのゆでガニを堪能できるコースを追加した。このほか、黒毛和牛とカニを個室でゆったり楽しむこともできる。

 パンフレットの完成度の高さも、「かにカニ」の人気を高めている。新鮮な刺し身に焼きガニ、ゆでガニ……。テーブルに所狭しと並ぶ真っ赤なズワイガニの写真が食欲を誘う。近畿統括本部営業課長の岩城弘明(47)は「写真の出来栄えが売れ行きに直結する」と断言する。

 パンフレットの写真は、提携先のホテルや旅館が自ら撮影する場合が少なくない。料理をおいしそうに撮れば、表紙に近く目立ちやすいページを確保しやすい。各施設は料理だけでなく、写真撮影の腕前も競い合う。 

 

二人三脚 

 提携先の施設とJR西は、二人三脚で旅行プランの魅力を磨き上げた。岩城は「旅館やホテルのみなさんが工夫して、おいしい料理を提供してくれる。その積み重ねが20年以上の大ヒットにつながった」と振り返る。

 1年目の目的地は「城崎温泉・天橋立エリア」だけで、参加者は約4万8000人だった。人気に火が付いた3年目以降、行き先や提携先が徐々に拡大した。「もっと気軽に来てもらうため、インターネット予約を導入したい」と意気込む岩城。商品の魅力アップに余念がない。(敬称略) 

 

 

かにカニ日帰りエクスプレス 

 行き先は「城崎温泉・天橋立」「北陸」「山陰」の3エリア。カニ料理が楽しめる提携先のホテルや旅館は計54施設で、温泉は一部施設を除く。比較的手頃な料金の「和み」から、個室でカニづくしの料理を味わう最上級の「特選極み」まで5プランがある。大人1人あたりの代金(税込み)は、大阪市内発着の場合で城崎温泉・天橋立が1万1900~4万400円。申し込みは2人以上。 

  

食の魅力で復興支援 

ヒット&ロングラン/JR西日本・室博(むろ・ひろし)執行役員営業本部長(大阪市北区で)
ヒット&ロングラン/JR西日本・室博(むろ・ひろし)執行役員営業本部長(大阪市北区で)

 

室博(むろ・ひろし)鉄道本部営業本部長 61 

 少子高齢化が進む中、当社にとって、赤字路線をどうやって存続させるかが課題となっている。だが、沿線には多くの観光資源がある。その一つが「食」だ。「かにカニ日帰りエクスプレス」は、こうした路線で列車の座席を埋めてくれる商品に成長した。

 今でこそ旅館やホテルのランチ営業は当たり前だが、「かにカニ」の発売当時、旅行は宿泊がメイン。鉄道会社ならではの視点で、日帰り旅行の新境地を切り開けたのではないか。ここまでロングラン企画になるとは、誰も想像していなかっただろう。

 伊勢エビやタイ、フグにクエ、マツタケ、肉食べ放題、桃食べ放題と、考えられる日帰り商品は何でも作ってきた。継続している商品もあるが、なかなか「かにカニ」を超えられる商品、サービスが生まれていないのが実情だ。

 今年は豪雪や豪雨、台風などの自然災害が多発し、運休などで沿線の皆さんに迷惑をおかけした。被災地の復興につながる商品を、地域の方々と一緒に作り上げたい。 

 

 

こんな会社 

 1987年4月に国鉄の分割民営化で発足、2004年3月に完全民営化した。営業路線は北陸から九州北部まで2府16県にわたり、総延長は約4900キロ・メートル。沿線人口の減少などに伴い、近年は鉄道以外の事業を強化しており、「駅ナカ」の商業施設や、ホテルの運営にも力を入れている。本社は大阪市北区。18年3月期の連結売上高は1兆5004億円、4月1日現在の社員数(単体)は2万8383人。

60764 0 ヒット&ロングラン 2018/12/26 15:00:00 2018/12/26 15:00:00 2018/12/26 15:00:00 「かにカニ日帰りエクスプレス」について話す(左から)中西優子さん、中野章子さん、岩城弘明さん、平井淑子さん(21日、大阪市淀川区で)=浜井孝幸撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190101-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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