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    商社マン→グリーンコンチネンタル社長 中村壮博さん 35  専業主婦→同社執行役員 政尾恵三子さん 36

     異色コンビで空間演出  

    • 店舗内などに植物を提供する「グリーンコンチネンタル」を創業した中村さん(右)と政尾さん(左)(大阪市中央区で)=金沢修撮影
      店舗内などに植物を提供する「グリーンコンチネンタル」を創業した中村さん(右)と政尾さん(左)(大阪市中央区で)=金沢修撮影

     大阪・本町のオフィス街にあるヘアサロン「mori no ma(モリノマ)」。3メートルものアイビーやシュガーバインなど、巨大に育ったつる性植物が天井や壁からぶら下がり、「森みたいなおしゃれなサロン」と話題になっている。

     デザインしたのは、グリーンコンチネンタル(大阪市)。肥料や照明など独自のノウハウにより、家庭で栽培すれば30~40センチ程度にとどまるつる性植物を最大8メートルに成育し、空間演出に活用する。商業施設や結婚式場、フィットネスクラブなど取引先は150にも上り、2015年には、安倍首相がミャンマー大統領を迎えたファッションイベントの演出も請け負った。

     元商社マンの中村壮博と、「カリスマ主婦ブロガー」の政尾恵三子が、絶妙のコンビネーションで、事業を成長させてきた。

     豊田通商の中国駐在員だった中村。培った人脈から中国の良質な肥料を日本に輸入するビジネスを思い立ち、12年5月に創業したが、沖縄県・尖閣諸島問題の影響で、日本に商品が輸出できなくなった。設立数か月で倒産寸前に陥り、親類から500万~600万円をかき集めて急場をしのいだ。運転資金を得るため、この肥料で育てた植物を売るビジネスを起こす決心をした。

     政尾はこの頃、2人の子どもを育てながら、「主婦のお小遣いの範囲」で、自宅のインテリアにいそしんでいた。アンティーク家具と100円均一で購入した雑貨を組み合わせる独特のデザインは、専門誌で賞を取るほど。ブログで発信すると、カリスマ的な人気となった。

     12年初夏、中村がショールームを兼ねた店舗のデザインの助言を政尾に求めた。店舗図面を見るやいなや、「女性がターゲットなのに男目線だ」とこき下ろす政尾に、中村はむしろ喜んで「じゃあ、店を作ってみないか」と勧めた。

     「自宅ではできなかったことをやってみたい」と応じた政尾により、11月、完成した店舗は大型植物と雑貨が交じり合う独特な雰囲気が評判となった。雑誌に紹介されると、「同じようにデザインしてほしい」と注文が相次いだ。

     現在は植物にセンサーを取り付け、温湿度や照度を調整し、植物の成育管理に生かしている。いわばIoT(モノのインターネット)の植物版だ。今後は「植物IoT」を空間演出に活用すべく構想を練る。

     「世界初しかやりたくない」と大風呂敷を広げる中村を、政尾が「現実に引き戻そうとしているうちに面白い事業になる」という。異色のコンビが、新たな市場を切り開く。(敬称略、鷲尾龍一)

     

     中村壮博(なかむら・たけひろ)1981年、大阪府生まれ。IT(情報技術)を扱う外資系企業から豊田通商を経て、2012年5月に創業した。

     政尾恵三子(まさお・えみこ)1980年、米ロサンゼルス生まれ。2003年に住友商事に入社。結婚後、08年に退職。兄が中村の同僚だった縁で経営に参画した。

    2017年01月27日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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