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    神戸空港の役割 強化を(佐山展生 スカイマーク会長)

    • 佐山展生・スカイマーク会長
      佐山展生・スカイマーク会長

     今年4月から神戸空港が民営化され、関西エアポートが、大阪(伊丹)空港、関西国際空港と共に3空港の一体運営を始めた。台風21号で関空が使えなくなった状況を見ていて、3空港連携の大切さを痛感した。

     今こそ、関西を首都圏やその他の地域を凌駕りょうがする「日本のメインゲート(玄関口)」にするべきだ。そのためには、関空の大幅能力アップ、神戸空港の規制緩和、そして3空港間の交通手段の利便性向上など関西圏の受け入れ能力を増やす対策を講じる必要がある。

     関空は大型機にも十分対応できる2本の滑走路を持ち、すでに訪日外国人受け入れの中心的存在になっている。将来は3本目の滑走路を建設し、さらに機能強化を図るべきだ。伊丹空港は大阪都心に近く、ビジネスマンを中心に底堅い需要がある。

     それに対し、神戸空港は〈1〉国際定期便は飛ばせず国内線のみ〈2〉運用時間は午前7時~午後10時〈3〉発着回数は1日60回――と規制されている。関西に新空港建設計画が持ち上がった際、神戸市が神戸沖での建設に反対し、大阪・泉州沖に現在の関空が建設されたいきさつからも、規制はやむを得ない面がある。しかし、関西圏への航空需要が急速に増大している現状を考えると、規制緩和は関西経済の活性化にとって欠かせない要素である。

     伊丹空港や関空の近隣自治体は、2空港の需要が神戸空港に流れるのではないかと危惧し、神戸空港の規制緩和に積極的でなかった。しかし、三つの規制を緩和して神戸空港の旅客が増えれば、関西圏全体の経済活性化に貢献するだろう。

     そう考える理由の一つが、急増する訪日外国人の存在だ。2017年の訪日外国人数は、前年比19・3%増の2869万1000人で、過去最高記録を更新した。さらに、18年上半期(1~6月)は1589万9000人と前年同期比で15・6%も伸びた。このペースでいくと18年は3300万人を超えることになる。20年に4000万人(17年比約1・4倍)、30年に6000万人(同2・1倍)という政府目標に順調に近づいている。

     法務省の17年の出入国管理統計によると、羽田、成田両空港から入国した訪日客の割合が約42%だったのに対し、関空は約26%だった。この比率を政府の目標値に当てはめると、関空は20年に17年実績(716万人)の約1・5倍の1040万人、30年に同2・2倍の1560万人が訪れることになる。25年の国際博覧会(万博)や統合型リゾート施設(IR)の大阪誘致などが順調に進めば、3空港の需要はさらに伸びる可能性がある。

    • 「神戸空港」(神戸市中央区)絵・宮本信代
      「神戸空港」(神戸市中央区)絵・宮本信代

     3空港を一体運営することでこの需要を吸収できれば、3空港は「日本のメインゲート」になり得る。そのためには関空の機能拡大にとどまらず、神戸空港での国際線受け入れを認めるべきだ。

     国内線でも、発着時間制限の緩和により、神戸空港の潜在能力が生かせる。騒音問題から発着時間が午前7時から午後9時までに制限されている伊丹空港発羽田行きの最終便は午後8時半前、羽田発伊丹行きの最終便は7時半前に出発する。新幹線も東京駅行き、新大阪駅行きの終電は、9時半前に終了する。

     もし、海上空港の神戸空港が24時間発着可能となり、24時間空港で都心に近い羽田空港との間で深夜便を開設できれば、その経済効果は首都圏、関西圏ともに大きいはずだ。

     規制を緩和するだけでは、旅客増への対策が十分だとは言えない。鉄道と空港とのアクセス(交通)改善は必須事項だ。現在、新幹線が走るJR新神戸駅と神戸空港を直接結ぶ交通手段はバスだけで、朝、夜に数本しか走っていない。神戸空港をつなぎ、三宮駅止まりのポートライナーを新神戸駅まで延伸できれば、京都や姫路などの新幹線沿線に住む人たちが神戸空港を利用する機会が増える。

     とはいえ、これまでの3空港問題の経緯から早急な対応をとりにくい状況は理解している。関空と伊丹空港への影響を確認しつつ、徐々に3空港の利用者を拡大して関西経済の活性化を図るべきだと考える。

     

     

    ◇さやま・のぶお 1976年京都大工卒、帝人入社。三井銀行(現三井住友銀行)を経て2008年に投資ファンド「インテグラル」代表取締役パートナー。15年スカイマーク会長。京都市出身。64歳。

    2018年09月29日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大阪本社社会部から
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