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深い青をたたえた海。長い胸びれを動かし、ゆっくりと回転しながら腹を見せたのはザトウクジラの子どもだ。体長5メートルはあろうか。目の前を悠然と横切って水面に浮上すると、深呼吸をした。20メートルほどの深場には、母親がその様子を見守るように泳いでいるのが見える。
鹿児島県の離島・奄美大島近海には、冬になるとザトウクジラが繁殖や子育てのために集まってくる。成長すると体長13メートル、体重30トンほどにもなる大型のヒゲクジラで、沖縄や小笠原諸島にも多く姿を見せる。日本近海のザトウクジラは回遊していて、夏には北方のベーリング海周辺で魚やオキアミなどを大量に捕食し栄養を蓄え、再び戻ってくる。

ザトウクジラは1960年代半ばまで捕鯨の対象となっていた。一時は絶滅が心配されるほど数を減らしたが、北太平洋での捕獲が禁止されて以降、日本近海をゆりかごにして子育てするクジラの数は、徐々に増えている。奄美周辺で調査や観察をしている奄美クジラ・イルカ協会によると、2020年12月から翌年5月には、前季を118頭上回る1097頭が確認できた。調査を始めた2014年以降で最も多かったという。
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