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    笑いの道 相方は白杖

     「迷ったら笑っといて!」。盲目の漫談師、濱田祐太郎さん(27)は、白杖を手に小さな舞台でしゃべりまくる。

     大阪市北区にある雑居ビル地下で、吉本興業によるお笑いの登竜門イベント「UP TO YOU」が開かれている。さらに大きな舞台を目指し、駆け出しのタレントたちがネタを競い合う。

    • 駆け出しのタレントたちが3分で笑いを競い合う「UP TO YOU」。漫談師の濱田さんは、実体験に基づくネタや時事ネタを次から次へと繰り出し観客を沸かせる。「どうもありがとうございました」と一礼すると、舞台の袖から劇場関係者が手を引きにくる
      駆け出しのタレントたちが3分で笑いを競い合う「UP TO YOU」。漫談師の濱田さんは、実体験に基づくネタや時事ネタを次から次へと繰り出し観客を沸かせる。「どうもありがとうございました」と一礼すると、舞台の袖から劇場関係者が手を引きにくる

     濱田さんは神戸市出身で、生まれつき左目が見えず、右目も光を感じる程度だ。

     小6の時に、テレビで生まれて初めて聴いたビッキーズ(2007年解散)の漫才が人生を変えた。「世の中にこんなおもろいもんがあるんや」と、涙を流して大笑いした。地元の視覚特別支援学校を卒業後、アルバイトで資金をためて吉本総合芸能学院(NSC)に入学した。

     目が見えないことを、ハンデとは思わない。しかし、お客さんがそのことを意識してしまうとネタに集中してもらえなくなる。観客の遠慮がちな笑い声には、盲目の漫談師を前に、笑っていいものか戸惑う気配を感じる。「この壁を乗り越えたい。大きな舞台で、視覚障害者であることを意識せずに、爆笑してもらうことが夢です。気持ちいいと思うんです」と話す。

     「UP TO YOU」の人気投票で実力が認められ、6月に有名タレントも出演する大阪・ミナミのよしもと漫才劇場の舞台に立つことが決まった。憧れのなんばグランド花月に一歩近づいた。挑戦は続く。(写真・文 尾崎孝)

     (3月17日~5月10日、大阪市内で撮影)

     動画はこちら

    • 駆け出しのタレントたちが3分で笑いを競い合う「UP TO YOU」。実体験に基づくネタや時事ネタを繰り出して観客を沸かせた漫談師の濱田さん(中央)は、フィナーレで他の出演者たちと客席を盛り上げた
      駆け出しのタレントたちが3分で笑いを競い合う「UP TO YOU」。実体験に基づくネタや時事ネタを繰り出して観客を沸かせた漫談師の濱田さん(中央)は、フィナーレで他の出演者たちと客席を盛り上げた

    • 同じNSC35期生の溝口幸雄さん(右)に誘導してもらい、舞台へ向かう。他の同期の近況を聞いたり、最近のお笑いについて話したりしながら歩く
      同じNSC35期生の溝口幸雄さん(右)に誘導してもらい、舞台へ向かう。他の同期の近況を聞いたり、最近のお笑いについて話したりしながら歩く

    • 「UP TO YOU」のフィナーレで、他のタレントたちと客席を盛り上げる濱田さん(中央)
      「UP TO YOU」のフィナーレで、他のタレントたちと客席を盛り上げる濱田さん(中央)

    点字のネタ帳

    • アイデアが浮かんだ時には携帯電話のメール機能でメモしておく。後で読み上げ機能で聞きながら、点字を打ってネタ帳を仕上げる
      アイデアが浮かんだ時には携帯電話のメール機能でメモしておく。後で読み上げ機能で聞きながら、点字を打ってネタ帳を仕上げる

    • MBSラジオ「週刊ヤングフライデー」に出演し、ネタを披露する。視覚障害者の女子高生からの悩み相談には、真剣に答えていた
      MBSラジオ「週刊ヤングフライデー」に出演し、ネタを披露する。視覚障害者の女子高生からの悩み相談には、真剣に答えていた

    • 「UP TO YOU」のフィナーレで、他のタレントたちと客席を盛り上げる濱田さん(白杖の男性)
      「UP TO YOU」のフィナーレで、他のタレントたちと客席を盛り上げる濱田さん(白杖の男性)

    2017年05月29日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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