プーチン氏「非常に建設的」…日露首脳共同発表

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 安倍首相とロシアのプーチン大統領は22日午後(日本時間22日夜)、モスクワで会談し、2月中旬にドイツで日露外相会談を行うことで一致した。

 日露首脳の共同記者発表の全文は次の通り。

 ◆プーチン大統領

 首相閣下、皆さん、たった今、日本の首相との会談が終わりました。この会談は、実務的で非常に建設的なものでした。私は、安倍首相と非常に緊密なコンタクトを保っており、ここ6か月で4回目の会談になります。つい最近、昨年の11月、12月にもシンガポールでの東アジア首脳会議、それからブエノスアイレスでの主要20か国・地域(G20)首脳会議でお会いしています。

 首脳レベルの対話は、日露の政府間委員会、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を含めた防衛相、両国の国会議員の活発な協力にも支えられています。緊密な政治的交流は、両国の善隣関係と相互の利益尊重の原則に基づいて両国の協力関係を発展させていくことへの関心を裏付けるものでしょう。

 こうした肯定的な雰囲気で、両国の問題について話し合いました。これまでもそうであったように、主な関心は、貿易、投資の拡大の展望に向けられました。双方の貿易額が増加している点が指摘されました。昨年1月~11月期では貿易取引高は18%も増えており、ほぼ200億ドルに達しました。日本のロシア経済への投資は累積で22億ドルになっております。

 安倍首相と私とで承認した8項目の経済協力プラン、これは安倍首相が提案してくれたものですが、これに加え、ロシアから提案している優先投資プロジェクトのリストをベースにして、共同作業が続けられています。

 日本企業は、ロシア経済の多くの分野に投資を行い、サンクトペテルブルクでの国際経済フォーラムにも、ウラジオストクでの東方経済フォーラムにも積極的に参加していただいています。エネルギー分野でも、協力関係の拡大が順調に進んでいます。ガスプロム、三井、三菱が、「サハリン2」の枠内で、液化天然ガス(LNG)第3トレインを建設しています。

 「北極LNG2」や「バルチックLNG」、カムチャツカ沖でのLNG積み替えターミナルでも、日本のパートナーとの協力の可能性が探られています。

 福島第一原子力発電所の事故処理の一環として、ロシアの企業が破壊された核燃料を検出する中性子検出器の開発を進めています。

 交通、インフラの分野での協力も進んでいます。昨年12月に複数の日本企業は、ハバロフスク空港の現代化を担当する企業の株式を10%取得した。また、シベリア鉄道での共同でのテスト輸送も行われました。こうした輸送が常時行われれば、日本製品をロシア領経由で第三国の市場へ輸送する量が数倍に増やせます。

 日本およびアジア太平洋地域へのLNG輸出のために、北極海航路での定期的な輸送の発展も有望だと思われます。全体としてロシアと日本の経済協力は進展しており、あきらかな成果もあります。

 しかし、私と安倍首相の見解では、本質的な変化はまだ起きていない。両国の協力の潜在力はまだ十分には、完全には活用されていません。そのため、私たちは重要な分野で、経済関係の拡大に関するより野心的なプランをつくることを話し合った。それは、貿易・投資・技術協力の分野などです。具体的には、今後数年間で日露間の貿易額を1・5倍に増やす、つまり300億ドルまで増やす目的を設定できるでしょう。

 私たちは、文化交流が拡大していることを指摘しました。日露交流年のイベントが成功裏に行われており、昨年5月に私と安倍首相はその開会を一緒に宣言しました。このプログラムは、両国で400以上の様々なイベントがあります。また、ロシアと日本は「シアター・オリンピックス」を今年後半にサンクトペテルブルクと富山で開催し、30か国から演劇集団が参加します。

 もちろん、平和条約の締結の見通しについても話し合いました。この問題については、私と首相はきょう多くの時間を費やしました。

 私と安倍首相は、この問題について、過去数年にわたって対話しています。シンガポールでの会談で、私と安倍首相は、1956年の日ソ共同宣言に基づいて交渉を行っていくことで合意しました。

 この共同宣言では、まず平和条約締結を見込んでいる。私たちは、この文書への署名に関心を持っていると再び確認した。その調整役として、私たちは外相を任命しています。両国外相は1月14日にモスクワで第1回の会合を行い、きょうその結果を私たちに報告しました。

 強調しておきたいことですが、相互に受け入れ可能な解決のための条件をつくる注意深い作業が今後控えています。課題は、日露関係を質的に新たな水準に押し上げ、長期にわたり全面的に発展させていくことです。もちろん、交渉の当事者が提案する解決は、両国の国民が受け入れられるものでなければならない。両国の世論が支持するものでなければならない。

 私たちは、南クリル諸島(北方領土)での共同経済活動について先に承認された5分野での努力を継続することで合意しました。これは、海産物の養殖、温室栽培、風力発電、観光、ごみの処理、つまり環境問題の解決です。

 最後になりますが、安倍首相閣下、そしてすべての日本の友人、同僚の皆様に、本日の有益で充実した意見交換に対して感謝申し上げたい。この訪問は、確実に、両国関係の発展に寄与し、両国の協力関係のカギとなる問題の解決に近づけてくれると思います。ご清聴ありがとうございました。

 ◆安倍首相

 モスクワを訪れるのは昨年の5月以来、8か月ぶりとなります。冬のモスクワは雪化粧をまとった街並みが美しく、一段と印象的であります。本日はプーチン大統領と、年が明けたばかりのこのタイミングで、様々な分野における日本とロシアの協力の展望について率直に議論することができ、2019年における日露関係のすばらしいスタートとなりました。

 8か月前、私とウラジーミルは、ここモスクワのボリショイ劇場で史上初となる日露交流年の開始を宣言しました。

 それから半年余り、折り返し地点に来た交流年ですが、これまで日露両国において500以上のプログラムが行われています。6月に日本で私と大統領が出席する予定の閉会式までに様々なレベルで文化、人的交流が一層深まることを期待します。

 昨年のロシアからの訪日者数は過去最高となり、両国の往来者数は大きく伸びて約10万人ずつがお互いの国を訪問しています。

 昨年、サッカー・ワールドカップがロシアで開催された際には、日本から多くのサッカーファンがロシアを訪問し、各地で心温まるおもてなしを受けました。日本のお茶の間でも数多くの日本人が時差で眠い目をこすりながら試合を衛星生中継で観戦し、ロシア各地の様子を身近に感じることができました。

 この勢いに弾みをつけ、2023年にはお互いの訪問者数をそれぞれ少なくとも20万人とし、合計40万人までに倍増させるという目標を掲げました。

 経済関係をより緊密にし、観光はもとより、地方交流や大学交流など、様々な交流を増やし、この目標をともに達成していきたいと思います。

 両国の議員、議会間でも、活発な交流が行われています。昨年7月には伊達参議院議長が訪露し、史上はじめてロシア上院で演説を行いました。12月には、両国の友好議員連盟の間でさらなる協力に向けた、了解覚書が署名されました。日露関係発展のための重要な柱として本年も議員、議会間交流を後押ししていきます。

 8項目の協力プランを提案してから2年半以上がたち、すでに170以上のプロジェクトが生み出されています。先月には、日本企業によるハバロフスク空港への経営参画、ガスプロムによるサムライ債の発行が決まりました。日露の企業がお互いに手を携えるビジネスに前向きであることを歓迎します。

 私とプーチン大統領が私のふるさと、長門で、自らの手で平和条約を締結するとの真摯(しんし)な決意を表明してから2年、新しいアプローチで問題を解決するとの方針のもと、私とプーチン大統領はこれまでにない協力を進めてきました。

 4島における共同経済活動については、2度の現地調査と、民間中心のビジネスミッションの派遣、そしてプロジェクト候補のロードマップにより、具体的道筋が明確になってきました。本日の会談では、プーチン大統領と共同経済活動の早期実現のために、共同作業を着実かつ、迅速に進展させるよう、関係者に指示しました。

 元島民の方々のお墓参りのための人道的措置は、平和条約締結に向けた両国国民間の信頼醸成に大きな役割を果たしています。長門での合意を受けて、航空機によるお墓参りが歴史上初めて実現しました。

 本日の会談ではこうした取り組みの重要性を確認し、本年の航空機墓参をこの夏にも実施することで合意しました。

 そして、平和条約の問題を本日もじっくりと時間をかけて、プーチン大統領と胸襟を開いて話し合いました。1956年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるとのシンガポールでの合意を踏まえた、具体的な交渉が先週、外相間で開始され、率直かつ真剣な議論が行われたことをプーチン大統領との間で歓迎しました。

 その上で、2月中に例えば、ミュンヘン安保会議の際に、外相間の次回の交渉を行うとともに、首脳特別代表間も交渉を行い、交渉をさらに前進させるよう指示しました。

 戦後70年以上残された課題の解決は容易ではない。しかし、私たちはやり遂げなければなりません。日本国民とロシア国民が互いの信頼関係、友人としての関係をさらに増進し、そして、相互に受け入れ可能な解決策を見いだすための共同作業を私とプーチン大統領のリーダーシップのもとで力強く進めていく、本日、その決意をプーチン大統領と確認しました。

 安全保障分野での信頼醸成を深めるため、本年も様々なレベルで防衛当局間や国境警備当局間で交流を進めます。

 麻薬をはじめとする非伝統的脅威への対処では、日露協力の成功例が積み重ねられており、その裾野をさらに広げていきます。

 北朝鮮問題でももちろん、両国は連携してまいります。北東アジアの平和と安定という大局の目的を私たちは共有しているからです。

 今年は皇位継承、G20、大阪G20サミットといった多くの重要行事が行われます。6月にウラジーミルをG20サミットにお招きし、合わせて日露首脳会談と日露交流年閉会式を行うことを楽しみにしています。

 9月には日本で初めてラグビー・ワールドカップが開催されます。その開幕戦で、日本とロシアの代表チームが対戦します。お互い全力で戦い、どちらが勝ってもノーサイドの笛の後は、互いの健闘をたたえ合いたいと思います。2019年が日露両国の皆様にとり、豊かで実り多い年となることを心より祈念します。バリショーエ・スパシーバ。

無断転載禁止
189139 0 政治 2019/01/23 13:09:00 2019/01/24 10:35:52 2019/01/24 10:35:52

おすすめ記事

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ