「日本は危険」一掃しなくては…政府、海外発信を強化
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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ日本の取り組みについて、政府は海外への情報発信を強化している。2月にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で起こった集団感染に海外から関心が集まった際、迅速に反応できず、「日本は危険」との印象が広がった反省がある。
政府は今月13日までに、日本国内の最新の感染状況や政府の感染防止策を伝える海外メディア向けの記者会見などを8回、在京外交団への説明会を6回行った。海外でも、在外公館がSNSで日本の対策を発信し、各国の有識者やメディアにも説明を行っている。
背景には、クルーズ船への日本の対応をめぐり、欧米メディアを中心に、「船内で感染が拡大した」などの批判的な論調が強まった苦い教訓がある。
乗客らを船内にとどめた判断には「感染の可能性がある多数の乗客を下船させても受け入れる施設がない」(厚生労働省幹部)との理由があった。しかし、海外メディアに対して素早く伝えられなかった。外務省幹部は「感染症など発信内容が外務省の専門とかけ離れ、厚労省に頼らないとどうしようもなかった」と振り返る。専門家の見解を英訳して発信しようにも、関係省庁の調整に1日かかり、対応が後手に回った。
発信を強化したことで、海外メディアの論調に変化も表れ始めている。
米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、2月26日に「日本はコロナウイルスに対応できていない」とする日本の大学教授の寄稿を掲載するなど、政府の対応を厳しく批判してきた。
だが、同紙は今月2日、「政府は大胆で時宜にかなった対策を行っている」とする大鷹正人外務報道官の反論投稿を掲載した。その後も、クルーズ船を運航した米国の会社の対応を検証する記事では、「日本だけが(船内の)感染拡大防止策をとる義務を負う国ではない」との茂木外相の発言などを取り上げている。