政権中枢に大打撃…案里容疑者の選挙に肩入れ、克行容疑者は「菅側近」自任
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河井克行・前法相と妻の案里参院議員が昨夏の参院選を巡る買収容疑で検察当局に逮捕されたことは、政権中枢への大きな打撃となった。安倍首相、菅官房長官は克行容疑者と近く、参院選では案里容疑者の全面的な支援を行ったためだ。
「選挙は民主主義の基本で、疑いの目が注がれることはあってはならない。自民党総裁として、より一層襟を正し、説明責任も果たしていかなければならない」
首相は18日、首相官邸で行った記者会見で河井夫妻の逮捕について、厳しい表情で語った。
克行容疑者は2012年9月の党総裁選で首相の推薦人に名を連ねた。15年10月に首相補佐官、17年8月に党総裁外交特別補佐に起用されると、首相官邸と各国政府や議員らとのパイプ役を務めた。昨年9月の内閣改造で法相として初入閣を果たした。菅氏とも、1996年初当選同期で親しい。党内で菅氏を支持する無派閥議員グループの一つである「
克行容疑者と政権の近さが際立ったのが、先の参院選だ。首相の意を受けた党本部は広島選挙区(改選定数2)で県連の反発を押し切り、溝手顕正・元防災相に加え、案里容疑者擁立を決定。首相は陣営に秘書を送り込み、菅氏も応援に2回入った。党本部が送った選挙資金は相場の10倍とされる計1億5000万円に上った。結果的に案里容疑者は当選、溝手氏は落選した。
二階幹事長はこの巨額援助の使途を「広報紙の配布費用」と指摘し、買収容疑との関連を否定した。溝手氏の出身派閥・岸田派が18日に開いた会合では、「そんなものに1億5000万円もかかるはずがない。きちんと説明すべきだ」と疑問視する声が上がった。
新型コロナウイルス対応の遅れや黒川弘務・前東京高検検事長を巡る問題などに加え、今回の事件で政権への逆風が一層強まるのは必至だ。政府高官の一人は、「政権の河井夫妻への強引な肩入れが事件の一因になったとの印象が広がりかねない」と危機感を示した。