オンライン教育・9月入学など「コロナ後の学び」検討…教育再生会議が議論開始
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政府の教育再生実行会議(座長=鎌田薫・前早大総長)は20日、首相官邸で会合を開き、「ポストコロナ期における新たな学び」をテーマとする議論に着手した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンライン教育のあり方や適正な学級規模、早期導入が見送りとなった「9月入学」の是非などを検討する。来年5月をめどに提言をまとめる方針だ。
安倍首相は冒頭のあいさつで、「感染症をはじめ、どのような事態が生じたとしても、子どもの学びを確実に保障できる教育システムを構築していく必要がある」と述べ、コロナ禍での新しい教育のあり方の検討を求めた。その上で、「秋季入学など、教育分野にとどまらず、社会全体で取り組まなければならない事項についても検討する必要がある」と指摘した。
会合では、小中高校と大学教育に分け、実行会議の下にそれぞれのワーキンググループ(WG)を設けて議論することを決めた。
小中高校では、ICT(情報通信技術)を活用したオンライン教育のあり方を探る。小中学校でのパソコン・タブレットの1人1台配備を踏まえ、使用時間に制限があるデジタル教科書の取り扱いを検討する。小中学校の学級規模は40人(小学1年は35人)が標準となっており、「3密」回避に向けた学級の少人数化もテーマとなる。
大学教育では、対面指導とオンライン教育を組み合わせた「ハイブリッド型」の教育のあり方を検討する。通年入学や通年卒業など入学・卒業時期の多様化のほか、4年制が基本の修業年限についても話し合う予定だ。留学生政策など大学の国際化政策も練り直す。
9月入学については、合同WGなどで、将来的な導入の是非を議論する。休校による学習遅れの解消策としては扱わず、導入する場合は4月の就学時期を前年の9月に前倒しすることが前提となる見通しだ。就学時期を4月から9月に遅らせる手法は採用せず、義務教育段階から導入する場合、就学年齢を6歳から5歳に早めることを想定する。
実行会議の提言を踏まえた大学入試改革で、英語民間試験の導入が見送られたことなどから、これまでの提言の実施状況などについても検証する。