遺言書、自宅保管は改ざんのおそれ…「争続」回避へ法務局保管の「3900円の自筆」も

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[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「遺言書」。

 高齢化が進む中、終活ブームを背景に遺言への関心が高まっている。今年7月には、手書きの遺言書を法務局で保管してもらえる新制度が始まった。遺産相続を「争続」にしないためには、生前のうちにトラブルの芽を摘んでおくのが得策だ。

遺産13億円 自筆の「有効性」裁判に

 2年前に亡くなった資産家の巨額遺産の行方が、今も世間を騒がせている。

 奔放な生き方から「紀州のドン・ファン」と呼ばれ、2018年5月に急性覚醒剤中毒で死去した和歌山県田辺市の会社経営者、野崎幸助さん(当時77歳)は、赤のサインペンで「全財産を田辺市に寄付」と書き残していた。田辺市は昨年9月、文書に法的効力があると判断し、少なくとも13億2000万円に上るとされる遺産を寄付として受け入れる方針を表明した。

 ところが、野崎さんの実兄らは「走り書きしたような文字で、自分の意思で作成したとは考えられない」と遺言書の無効確認を求めて和歌山地裁に提訴した。今年6月から始まった裁判では、自筆とされる遺言書の有効性が問われることになる。

 司法統計によると、当事者間で遺産分割が進まず、家裁に持ち込まれた件数は昨年、1万2785件に上り、10年前に比べて約2割増えた。手書きの遺言書は記載事項に漏れがあると有効性が損なわれ、自宅で保管すると改ざんの懸念もある。法務省の担当者は「自筆の遺言書を巡るトラブルは多いと聞いている」と話す。

法務局がチェック・保管 7月スタート

 遺言の主流は、法律の専門家の公証人に作成してもらう「公正証書遺言」だ。書式の不備はまずなく、公証役場が保管するため偽造や紛失の恐れもない。ただ、財産に応じて手数料が1万円以上かかる難点がある。

 この点、自ら手書きする「自筆証書遺言」は無料で証人もいらず、手軽さが利点だが、死後に見つからなかったり、真正なものかどうかで争いになったりするケースも珍しくない。

 こうした悩みを和らげようとスタートしたのが、自筆の遺言を法務局が1通3900円で保管する制度だ。法務局が書式をチェックした上で厳重に保管するため、体裁の不備も紛失の心配もない。自筆証書の場合、家裁で相続人らが遺言書の状態を確かめる「検認」の手続きが必要だが、これも不要となる。

 7月から全国312か所の法務局で受け付けが始まった。従来の制度に比べて手間や費用のハードルが低くなり、10月までの保管件数は9164件と上々の滑り出しだ。

大相続時代に

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1631429 0 政治 2020/11/17 05:00:00 2020/11/17 10:24:24 2020/11/17 10:24:24 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201116-OYT1I50054-T.jpg?type=thumbnail

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