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分断の連鎖と拡大食い止め「協力」取り戻す知恵を…梶山経済産業相のあいさつ全文

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 ブレマー代表、そして中西会長、昨年に続き、ご招待を頂き、感謝を申し上げます。

 一年前に登壇した時から、世界の風景は一変しました。

 人類が感染症の脅威に日々おびえてマスクを常に着用し、「密」は避け、リモート会議で距離感を探りあう。疑うことのなかった「日常」の常識は、すっかり覆ってしまいました。

 こうした「日常生活」の大転換と比べて、「世界秩序」は、予想通りの推移をたどっているようにすら見えます。

 米中の技術覇権争いの激化や国際機関の機能低下など、昨年のGゼロサミットで議論された地経学的な見立ては、正確な予測を含んでいました。

 予期せぬコロナ危機は、米国の大統領選を挟んで、社会の対立と分断の断面を荒々しくえぐり、予期された変化を、むしろ加速させた感すらあります。

 疫病は、国際秩序の再編成や社会変革を加速させる。それが歴史の教訓です。

 その教訓を正しくくみ取るならば、今求められているのは、分断の連鎖と拡大を食い止め、人類が互いに必要とする「協力」を取り戻す知恵です。

 世界中が惑い、自信を失い、たどるべき道筋が見えにくくなっています。グローバル化した世界、国境を越えて繋がっていく世界のビジョンも再構築しなければなりません。

 世界のあるべき道筋を照らす。このサミットの役割は、前回以上に、重要になってきています。

日本が世界牽引を

 疫病の恐怖に怯え、分断が進む世界は、自国優先主義が跋扈(ばっこ)し、米中対立の深刻化など、国際協調にかつてない強い「遠心力」が働いています。

 コロナの影響が比較的軽微で、欧米に比べれば社会の連帯が強固である日本は、今こそ世界のあるべき道を照らす存在になるべきだと私は考えます。

 日本は、コロナとの共存が求められる世界で、三つのテーゼで世界を牽引(けんいん)してまいります。

 第1のテーゼは、「自由で公正な経済空間を再構成する」ということです。

 コロナ危機で、グローバル・サプライチェーンは寸断され、最盛期には80以上の国が輸出制限を加えました。これまで以上に、政策当局者が保護主義の誘惑に駆られやすい状況にあると言えます。

 サプライチェーンの見直しは、待ったなしです。

 しかし、それが単に自国のみに閉じて、グローバルな繋がりを断ち切ることであってはなりません。

 必要なのは、ルールに基づく「秩序」です。

 自由貿易の旗手として、TPPや日・EUのEPAを牽引してきた日本は、RCEPの早期発効、高いレベルの条件を満たす国へのTPP11の拡大などにより、引き続き、自由で公正なルールを世界に広げていく先頭に立ってまいります。

 加えて、国家資本主義的な動きもある中で、企業の公正な競争条件を確保するため、有志国と連携しつつ、産業補助金や強制技術移転に関するルール作りを進めてまいります。

 第2のテーゼは、デジタル・トランスフォーメーション(DX)です。もう「議論」を重ねるフェーズは終わりました。次は「実行」あるのみです。

 日本は、アジアを追いかける立場です。そうした危機感をもって、DXの実装を推進してまいります。

 デジタル社会のイノベーションは、その設計図とも言うべきアーキテクチャーが決定的に重要です。5月に立ち上げた「デジタルアーキテクチャ・デザインセンター」は、「イノベーションのあり方をイノベートする」組織として注目に値します。

 こうしたDXの実装により、見据える先は、世界のルールづくりです。デジタル保護主義は、拡大するデータ流通やデジタル経済の脅威です。今こそ、プライバシーやセキュリティなどのトラストに基づくデータの自由流通に関する国際的なルールが必要です。

 日本は、このデジタル・ルール作りの中心にいます。これまで、TPP、日米デジタル協定、日英EPA、RCEPを通じて自由なデータ流通のネットワークを広げてきました。G20大阪サミットで合意した「データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト(信頼性のある自由なデータ流通)」に基づき、WTO電子商取引交渉を主導してまいります。

 第3のテーゼは、「2050年カーボンニュートラル」の実現です。

 その際の肝となるのは、経済と環境の好循環を生み出す革新的なイノベーションです。一つの国に閉じていては、イノベーションは大きく育ちません。ここでもまた、国際協調が不可欠であると考えています。

 今年に入り、ノーベル化学賞の吉野(彰)先生をセンター長とする「ゼロエミッション(国際共同研究)センター」を設立しました。カーボンリサイクルや水素を含め、環境・エネルギー技術に関する研究協力を力強く進めてまいります。

 カーボンニュートラルの実現を目指すという宣言は、新たなビジネスチャンスに繋がる成長戦略そのものです。「グリーン成長」を具体化する動きの国際協調のハブとして、世界をリードしてまいります。

「新しい日常」バージョンアップを

 世界を飛び回り、目の前に座る各国の経済大臣と、まなじりを決して、厳しい交渉を繰り広げる。これが「コロナ前のバージョン」の経済産業大臣でした。

 今は、深夜や早朝に、オンラインでバイ会談や国際会議に出るという国際交渉の「新しい日常」にも慣れてまいりました。それでも、世界と渡り合い、物事を進めていくこともできると分かってきました。

 政府も、産業界も、更なる「バージョンアップ」が求められています。意思あるところに道は開けます。歴史と世界の大きな流れを読み解き、確固たる意思を持って革新を進め、日本と世界を正しく変えていきたい。そう考えます。

 Gゼロサミットにご参加の皆様が、本日の議論を通じて、世界を導く英知をつむぎ出していただくことを祈念して、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

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1691567 0 政治 2020/12/10 19:13:00 2020/12/10 19:29:04 2020/12/10 19:29:04 Gゼロ・サミットのロゴ https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201210-OYT1I50070-T.jpg?type=thumbnail

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