北方領土の植物分布示す「植生図」作成へ…現地調査できず人工衛星画像を活用
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政府は、北方領土の植物分布を示す「植生図」を2021年度中に作成する方針を固めた。ロシアが不法占拠を続ける北方領土は現地調査ができないため、人工衛星画像を活用して作成する。国際社会に日本固有の領土であるとアピールする狙いもある。
植生図は、植物を種類ごとにまとめて、分布状態を地形図に落とし込んだもの。建設工事などを行う際の環境影響評価(環境アセスメント)や災害対策、鳥獣対策などの資料として活用される。
政府は、韓国が不法占拠している竹島(島根県)や、沖縄県の尖閣諸島を含めて全国の植生図を作成しているが、北方領土は未作成となっていた。
今回は、北方領土全土の約5000平方キロ・メートルを約1年かけて調査する。国が管理する人工衛星の画像を解析するほか、民間や海外からも画像を購入し、複数枚の画像を組み合わせたり、季節ごとの移り変わりを比べたりして植生図を作る。
現地調査ができないため、縮尺は通常の2万5000分の1ではなく、20万分の1とやや粗くなる。それでも植物分布の概要は把握できるという。環境省生物多様性センター(山梨県)の担当者は「北方領土は道東とは違った植物があるなど、新しい発見が期待できる」と話す。
政府は15年に衛星画像を使って尖閣諸島の植生図を作った実績がある。今回はより広範囲の調査が必要だが、画像解析技術が進展しており、作成は可能とみている。