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日本も考えるべき「敵基地攻撃能力」…日米同盟における「費用対効果」の視点

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 米国のバイデン大統領の就任で、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を決める日米の協議は、仕切り直しとなった。トランプ前政権は日本に現在の4倍強という大幅増額を要求していたが、今後の交渉は、より合理的なものになることは間違いない。
 日米同盟は深化を重ね、自衛隊の任務の範囲は広がってきた。これからの同盟関係の中で日本が担う負担は、どうあるべきなのか。防衛大で長年、安全保障を研究してきた武田康裕教授は、思いやり予算の規模に関する議論にとどまらず、米国の拡大抑止の信頼性や自衛隊の任務拡大の有効性などを総合的に分析し、同盟の効用を最大化する「費用対効果」の視点が重要だと説く。(政治部次長 栗林喜高)

駐留経費負担の増額…バイデン政権でも圧力は続く

 米国のトランプ前政権は、日本に対して在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる思いやり予算の大幅増額を求めていました。バイデン政権に代わりましたが、米国からは引き続き、防衛予算の拡充や駐留経費負担の増額という圧力が続くだろうと思います。

 その理由には、米国の構造的な面と、バイデン政権の政策的な面があります。

 構造的な面は、中長期的に、米国には単独で覇権国家としての国際公共財を担う国力がないことです。また、米社会は保守とリベラルの対立に加え、人種構成や所得格差などの根深い分断を抱え、政策は内向きにならざるを得ません。

 政策的な面としては、やはりコロナ禍にあるということが一番大きい。コロナ対策の財政出動はトランプ政権期の臨時支出を含めて総額約6兆ドル(約630兆円)に及ぶと言われ、債務負担は巨額になります。与党・民主党の左派が求める社会保障や気候変動対策に予算を充てる必要もあり、国防予算は手薄になるでしょう。

 バイデン大統領は「米国は再び世界を指導しなくてはならない」と言いましたが、多額の軍事費が必要になる「世界の警察官」になることは考えられません。

 そうなれば、日本を含む同盟国に協力を求めることになります。

 ただ、日本がいくら米軍駐留経費の負担を増やしても日米双方に不満が残り、問題は解決しません。

「安全保障や軍事は難しい話だというイメージが強いですが、実は一人ひとりの国民の安全に直結する身近な話なのです」(神奈川県横須賀市の防衛大総合情報図書館で)=鈴木竜三撮影
「安全保障や軍事は難しい話だというイメージが強いですが、実は一人ひとりの国民の安全に直結する身近な話なのです」(神奈川県横須賀市の防衛大総合情報図書館で)=鈴木竜三撮影

金銭では解決しない、それぞれの「不満」

 日米安全保障条約は「日本国の施政の下にある領域」での共同防衛を定めており、その外で米国が武力攻撃を受けても、基本的に日本は米国を守ることはないという「非対称」の同盟だからです。平和憲法を持つ日本は全面的な集団的自衛権の行使はせず、その代わり、米軍に基地を提供するという構造なのです。

 米国側には「自分たちは日本を守っているのに、日本は米国を守らない」という不満があり、日本の有権者には「日本は米軍に基地を提供して、過剰な負担を強いられている」という不満があります。

 米側の不満は、日本の任務負担が少ないことに対するものですから、お金を積むだけで解決できる問題ではないのです。日本側も、基地負担が過重だと思っている有権者は、さらに金銭的負担が増えるということで不満が残ります。

 5年に1回の駐留経費の交渉は、米軍基地の光熱費や労働者の給与などをどれだけ日本が負担するのかといった、いわば「テクニカルなお金の話」です。それよりも、私は、「そもそも論から」議論すべきだと思います。

日本が直面する脅威は何か?アメリカにどこまで頼れるのか?

 昨年、日米同盟は安保条約改定から60年を迎えました。この機会に、日米の任務の分担は本来どうあるべきで、そのための経費をどう分担すればよいかという交渉をすべきだということです。

 その際、日米の不満が解消するような分担のあり方を考えるのも重要ですが、大事なのは、日本の安全にとって日米同盟が効果を上げるためにはどうすれば良いか、という視点です。

 思いやり予算より自衛隊の任務負担を増やすことにお金を使う方が日本の防衛に役立つなら、その方が有権者のためになりますし、米国の不満解消にもつながります。そのような長い目で見た費用対効果の分析が必要だと思います。

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1857766 0 政治 2021/02/21 08:55:00 2021/02/21 08:55:00 2021/02/21 08:55:00 「あすへの考」用、防衛大学校国際関係学科教授、武田康裕氏(神奈川県横須賀市の同校総合情報図書館で)=鈴木竜三撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210216-OYT1I50027-T.jpg?type=thumbnail

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