GPSで相手の居場所確認、ストーカー規制法の対象に…改正案を閣議決定
完了しました
巧妙化するストーカー事件に対応するため、政府は26日、ストーカー規制法の改正案を閣議決定した。居場所を確認するために全地球測位システム(GPS)を悪用する行為を規制するほか、「見張り」などを規制する場所について、従来の自宅や勤務先などに加え、立ち寄り先を追加した。今国会での成立を目指す。
警察庁によると、昨年の同法違反の摘発は985件で、10年前の4倍を超えた。特に性能が増したGPSの悪用が目立ち、2014年以降、同法の「見張り」に当たるとして59件を摘発。だが最高裁が昨年7月、女性の車に取り付けた男らの裁判で「見張り」に当たらないと認定したため、同庁の有識者検討会が先月、法改正を提言していた。
改正案では、相手の承諾なく車などにGPS機器を取り付けたり、持ち物に忍ばせたりする行為を規制。GPSやスマートフォンアプリなどを通じて位置情報を取得する行為も規制対象とし、禁止命令や警告を出せるようにした。こうした行為を繰り返した場合などは摘発対象となり、最高で2年以下の懲役か200万円以下の罰金を科す。
「見張り」や「押しかけ」などを規制する場所についても、自宅や勤務先などの「通常所在する場所」に加え、立ち寄り先の施設などの「現に所在する場所」を対象に含めた。SNSに投稿された画像などから居場所を突き止め、その場に押しかけるなどのケースが相次いでいるためだ。
電話やメール、SNSのメッセージ送信を繰り返す行為は現在も規制されているが、新たに手紙などの文書の連続送付も規制する。
こうした行為を繰り返す人に対する禁止命令について、公示することで当事者に届いたとみなす制度の導入も盛り込んだ。命令文書の受け取りを拒否されたり、所在が不明だったりするケースに対応する。
ストーカー規制法は、1999年に女子大生が殺害された「桶川事件」を機に2000年5月に制定された。その後も凶悪事件が絶えず、13年の法改正でメールの大量送信を規制対象に加えるなど、これまで2回の法改正が行われている。