【独自】五輪に海外客、「受け入れ困難」で調整…聖火リレー出発の25日までに決定
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今夏の東京五輪・パラリンピックを巡り、政府と大会組織委員会、東京都は、海外からの一般観客の受け入れは困難だとする見解をまとめる方向で調整に入った。各国で新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、海外客の大規模な入国受け入れは、国民の不安を招きかねないと判断した。
複数の政府高官と組織委幹部が明らかにした。近く見解を正式にまとめ、国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)に伝達する方針だ。
大会関係者によると、海外でチケットはすでに計約90万枚が販売されている。
しかし、国内外で新型コロナの感染が収束する気配はなく、政府関係者は「現時点で大規模な観客の受け入れを見通すことは困難だ」と語った。
IOCのトーマス・バッハ会長とIPCのアンドルー・パーソンズ会長、丸川五輪相、東京都の小池百合子知事、組織委の橋本聖子会長は3日、オンライン形式で5者会談を開いた。
会談で丸川氏は、海外客の受け入れについて「この先の(感染)状況は予測することは非常に困難なので、慎重な判断が必要だ」との考えを示した。この日は結論には至らず、3月中に受け入れ可否を決定することで合意した。聖火リレーが福島県を出発する25日までに決定する方針だ。
組織委幹部は3日夜、「日本側が海外客受け入れ断念を決めれば、IOCとIPCも尊重するだろう」と語った。
橋本氏は会談後、25日までの決定を目指す理由について、「ホテルなどのことを考えると、早い段階で決めてほしいという声がIOCにもIPCにも寄せられている」と述べた。受け入れ断念で大量に発生する旅行関連のキャンセルの影響を最小限に抑えるには、早期の判断が必要だとの認識を示したものだ。
競技会場に入れる観客の上限については、感染状況やプロ野球などのスポーツイベントの動向を見ながら検討し、4月に判断することで一致した。丸川氏は会談後、東京都内で記者団に「国内外のスポーツイベントから教訓を得つつ、その状況を踏まえて判断していく」と述べた。
政府は1月以降、新型コロナ感染拡大に伴う水際対策として、全世界からの新規入国を停止している。首都圏4都県を対象にした緊急事態宣言を全面解除した後も、変異ウイルスの流入などを警戒し、入国停止は当面継続する見通しだ。外国の選手のほか、大会関係者の入国は認める方針だ。