【独自】想定していなかった感染症対応、災害派遣医療チームDMATの研修に追加へ
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厚生労働省は新年度から、災害派遣医療チーム(DMAT)向けに感染症対応の研修を始める方針を固めた。各地で感染が続く新型コロナウイルスへの対応力を高める狙いがある。
DMATは阪神大震災の経験を教訓として、2005年に設立された。地震や水害などの被災地に派遣され、けが人の治療や搬送にあたってきた。全国で医師や看護師ら約1万5000人が登録されている。
厚労省は今回、DMAT事務局が行っている集団研修に感染症対策を追加するほか、感染症に特化した研修コースをもうける考えだ。
受講者は研修を通じて感染防護服や感染者の取り扱い、施設内で感染のおそれがある危険区域と安全区域を分ける「ゾーニング」のやり方を学ぶ。感染症の知識を身につけ、派遣先の医師や看護師らの指導役を果たすための研修も予定している。年間で5000人前後が受講する見通しだ。
DMATは本来、災害医療を主眼とし、感染症への対応を想定していなかった。新型コロナでは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で発生したクラスター(感染集団)に対処した。その際、感染症対応に不慣れだったこともあって隊員1人が感染した。その後も感染拡大地域への派遣が相次いでおり、安全確保や効果的な活動に向けた研修のあり方が課題となっていた。