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[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「再選挙」。
参院広島選挙区の再選挙が25日に投開票される。2019年参院選での大規模買収事件を巡り、参院議員だった河井案里氏が当選無効となったことに伴うものだ。「そもそも当選がなかった」という扱いで選挙をやり直すのに、これまでに支払われた歳費は返さなくてもいいという。矛盾が生じているのは法律の抜け穴が原因のようだ。
参院広島「補選から再選挙」初の事例
2月5日午前0時、公職選挙法違反(買収、事前運動)に問われた河井氏を有罪とした東京地裁判決が確定した。河井氏側と検察側の双方が控訴しなかった。この瞬間、河井氏の当選は無効になり、参院広島選挙区で予定された「補欠選挙」は「再選挙」に切り替わった。1950年に現在の公選法が施行されて以来、初めてのケースだ。
再選挙とは、訴訟で選挙が無効になったり、選挙犯罪で刑に処せられて当選自体が無効になったりした場合に、改めて選挙を実施するものだ。議員の死亡や辞職後に欠員を補う補欠選挙(補選)とは異なる。河井氏は2月3日に自ら議員辞職したため、当初は補選が実施される予定だった。しかし、その後に有罪判決が確定して当選無効となったことを受け、再選挙が行われることになった。
総務省によると、公選法上、河井氏は19年参院選時に戻って「当選がなかったこと」になる。今回のように選挙犯罪によって当選無効となり、補選と再選挙を実施すべき理由が重なった場合、「効果がさかのぼって発生する再選挙が優先される」という。つまり、河井氏は自ら辞職するより前に、そもそも当選していなかったことになり、やり直しの再選挙を行うというわけだ。読売新聞の基準でも、河井氏は参院議員としては「当選回数なし」となる。