読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

「ダメだ。遅すぎる」声を荒らげた首相、ファイザーCEOに直談判…[政治の現場]ワクチン<2>

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

[政治の現場]ワクチンをまとめて読むならこちら

 「おめでとうございます」

 4月17日朝、米ワシントンの大統領賓客施設「ブレアハウス」。壁一面の窓から朝日が差し込む会議室に、首相の菅義偉の声が響いた。スピーカーフォン越しに語りかけた相手は、新型コロナウイルスワクチンの開発でリードする米製薬大手ファイザーの最高経営責任者(CEO)、アルバート・ブーラだった。

 菅が祝意を伝えたのは、米有力財団が卓越した経営者に贈る賞を、ブーラが約1か月前に受賞したからだった。受賞を知った菅は、事前に祝電も送っていた。周到さが功を奏したのか、会話は和やかに滑り出した。

 日本政府からの会談の打診に、ブーラ側は当初消極的だった。だが、菅側が「電話でも」とこだわった。菅には注目度が高い初訪米で「リーダーシップを示す」(周辺)思惑もあった。

 「引き続きよろしくお願いします」。菅の言葉にブーラは「最大限努力します」と応じた。日本政府は既に、同社と1億4400万回分(7200万人分)の契約を結んでいたが、この会談で追加の5000万回分の供給が正式に固まった。

 それでも、国産ワクチンを持たず、全量を輸入に頼る日本政府にとって調達は困難の連続だった。政府内で確保への取り組みが加速したのは、今年1月だった。

 「ダメだ。遅すぎる」

 年明け間もない首相官邸の執務室。菅は、「ファイザーのワクチンが日本に来るのは早くても4月」と報告した首相補佐官の和泉洋人に、声を荒らげた。

 世界でワクチン争奪戦が激化する中、菅は交渉を、自らの腹心である和泉を中心とした厚生労働省のチームに任せていた。

 ところが、交渉はつまずく。ワクチンの早期供給を求めた日本に対し、同社は「日本は、欧州より感染状況は悪くない」と主張し、「日本への供給は4月」との考えを譲らなかった。

 そこで菅は、駐米大使だった杉山晋輔にファイザーのブーラとの交渉を命じた。「世界で最も忙しい経営者」(外交筋)と称されるブーラは当初、面識がない杉山の電話に応じなかった。

 杉山は、トランプ米政権で厚生長官を務めていた旧知のアレックス・アザールを頼った。アザールは「製薬会社は連邦政府の言うことなんか聞かないぞ」とクギを刺してきたが、アザールとの電話後、ブーラはようやく杉山の電話に応じた。

 杉山は力説した。「日本はまだ欧米より感染者は少ないかもしれない。だが、日本のトップ(首相)は『この後、大変なことになるかもしれない』と大きな危機感を持っている」

 「本当に日本の首相がそう言っているのか」。ブーラは何度も念押しした上で、こう言った。「日本はとても大きな市場だ。努力しよう」。その後、厚労相の田村憲久もブーラと電話で交渉し、早期供給を求めた。

 交渉を引き継いだ河野太郎は、ファイザー担当者と携帯電話で直接やりとりした。担当者の気を引こうと、3月下旬、東京周辺の桜の写真を撮って送るなど、関係を深める努力も重ねた。結果、前倒しや5000万回分の追加供給にもつながった。

残り:716文字/全文:1976文字
読者会員限定記事です
新規登録ですぐ読む(読売新聞ご購読の方)
無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2075934 0 政治 2021/05/25 05:00:00 2021/06/23 14:55:42 2021/06/23 14:55:42 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210524-OYT1I50129-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)