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「ワクチン敗戦」の日本、開発強化求め続けた教授の問いに官僚はうつむくだけ…[政治の現場]ワクチン<6>

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[政治の現場]ワクチンをまとめて読むならこちら

 政府の健康・医療戦略推進本部に、官僚や製薬業界、大学関係者ら産官学で作る「医薬品開発協議会」という会議がある。新型コロナウイルス感染拡大を受け、今春からワクチンの実用化を推進する方策を検討してきた。

 4月16日、東京・霞が関で開かれた会合。長机に感染予防のアクリル板が並ぶ会議室で、参考人として出席した東京大学医科学研究所教授(ワクチン科学)の石井健は、こう問いかけた。

 「日本のワクチン開発は周回遅れだ。10年おきに同じ議論を繰り返す反省を、どう今後に生かすのか」

 石井の問いに、厚生労働省の官僚など、参加者は黙ってうつむくだけだった。

 政府は、これまでも国産ワクチン開発の提言を繰り返し受けてきた。2010年6月には「新型インフルエンザ対策総括会議」が、国家の安全保障の観点から、ワクチン製造業者への支援や開発の推進、生産体制の強化などを求めていた。

 結びは、こんな一節だ。

 「発生前の段階からの準備、とりわけ人員体制や予算の充実なくして、抜本的な改善は実現不可能だ。今回こそ、体制強化の実現を強く要望する」

 こうした提言は、この間、顧みられてこなかった。

 新型コロナの国産ワクチン開発で、日本は米英中露などに大きく後れを取る。日本国内で塩野義製薬や第一三共などが開発を進めるが、年内供給の見通しは立たない。「ワクチン敗戦」。そんな言葉もささやかれる。

 1980年代まで、日本は世界に先駆けて水痘や百日ぜきなどに取り組むワクチン先進国だった。だが、効果より副反応の問題が目立ち始め、状況は変化した。

 92年、予防接種の副反応をめぐる訴訟で国が賠償責任を問われると、94年の予防接種法改正で接種が国民の「義務」から「努力義務」へと変わった。国主導から個人の判断に委ねる形になり、接種率も下がっていく。国も製薬会社もワクチン開発に及び腰となり、研究開発の基盤は弱まっていった。

 確かに、開発は一筋縄ではいかない。有効性や安全性を確認するため、必要な臨床試験は3段階ある。最大のハードルは、大規模な試験が必要とされる最終段階の第3相だ。日本では医薬品医療機器法で、後発品でも国内で大規模な臨床試験が求められ、一般的な医薬品でも3~7年かかるのが普通だ。

 だが、時の政権与党や厚労省は、ワクチン接種に慎重な日本人の国民性を強調するあまり、「国産ワクチンが出来ても、世界に先駆け日本が承認するのは難しい」「海外で使用後の方が、安全性を見極められる」と開発に後ろ向きだった。

 まさに、政官の不作為が露呈したと言える。

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2091381 0 政治 2021/06/01 05:00:00 2021/06/23 14:49:02 2021/06/23 14:49:02 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210601-OYT1I50015-T.jpg?type=thumbnail

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