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不祥事相次ぐ魔の3回生に初の試練、「足元見直せ」叱責受け奔走…[政治の現場]決戦の足音<5>

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 追い風しか知らない自民党の「3回生」たちが、試練を迎えている。

 「ここまで事態が大きくなったのは、県連との関係作りが おろそ かだったからだ。もう一度、足元を見直せ」

 6月30日、自民党本部4階の選挙対策委員長室。選対委員長の山口泰明の厳しい言葉に、衆院当選3回の武井俊輔(宮崎1区、岸田派)はうなだれた。

 その3日前、宮崎県連は武井の次期衆院選の公認を党本部に申請しない方針を決めた。武井の公設秘書が6月8日、東京・六本木で衝突事故を起こし、立ち去ろうとしていたことが発覚。車には武井も同乗し、武井所有の車は車検が切れていた。武井は山口との面会後、消え入るような声でつぶやいた。「どこか気が抜けていたのかもしれない」

 「ろくに地元に顔を見せないで、何をしてるんだ」。県議らからは、日頃から関係が希薄な武井への不満が噴出した。県連は公募の実施を求めたが、党本部は現職優先を理由に否定。「公認するなら党本部の責任だ。県連は、それぞれが自主判断で進まざるを得ない」。県連会長で県議の星原透は不満を隠さない。

 武井ら2012年衆院選初当選組は、不祥事が相次いだことから「魔の3回生」と呼ばれる。12年は民主党からの政権奪還の勢いに乗り、自民では119人もの新人が誕生した。14年と17年も安倍政権下で自民は勝利し、3回生は「楽な選挙」しか経験していない。

 今も残る12年初当選組の3回生は79人。新型コロナウイルス対応で菅政権への批判は高まっており、初めて逆風下で衆院選を迎える可能性がある。

 細田派55%、麻生派41%、竹下派43%、二階派45%、岸田派52%――。自民各派閥の衆院議員に占める3回生以下の割合だ。若手の戦いは派閥の盛衰に直結するため、各派は底上げに躍起だ。

 「私とともに政権を奪還し、3回連続当選を果たした。しかし、次は自民党に厳しい風が吹いている」

 11日、北海道苫小牧市で開かれた細田派・堀井学のパーティー。前首相の安倍晋三は拳を振り上げ、堀井への支援を訴えた。前日には、同派の3回生・細田健一の国政報告会のため、新潟県に駆けつけた。事前に日程調整で訪れた細田に、安倍は「細田君の一番都合のいい日に行くよ」と即答した。

 衆院選後、安倍は出身の細田派に復帰する見通しだ。応援行脚には、「安倍派」への代替わりを見据え、出来るだけ手勢を減らしたくないとの思惑も透ける。

 竹下派は5日と7日、直近の党の情勢調査で数字が悪かった議員らを派閥事務所に順番に呼んだ。

 同派会長代行の茂木敏充ら幹部は、過去の得票資料を突きつけ、活動を事細かに指示した。「業者頼みにせず、自分でポスティングをやれ」。3回生の野中厚(埼玉12区)は、こう発破をかけられた。面談を終えた若手は、険しい表情で事務所を後にした。

 各派でも同様の取り組みが広がるが、肝心の若手からは「地元を歩けといった当たり前のことしか言われない」と不平も漏れる。

 あっさり勝負を投げ出す議員もいる。3回生の安藤裕(京都6区、麻生派)は、財政赤字の拡大を容認する現代金融理論(MMT)に傾倒し、果断な財政出動を求める提言で注目を浴びた。

 ところが、女性問題が浮上し、6月に府連幹部が対応を迫ると、「次は出ません」と明言した。府連会長として事態収拾に汗を流した西田昌司は、「期待をかけてきたが、国会議員に興味がなくなったんやろ」とあきれる。

 村井英樹(埼玉1区、岸田派)や小林鷹之(千葉2区、二階派)ら党で政策立案能力を発揮し、将来を嘱望される3回生もいる。次の選挙を勝ち抜き、当選4回となれば副大臣や閣僚も見えてくる。

 「こんなところに立ってないで、しっかり仕事をやって」。村井は駅頭に立つと、時にこんな声をかけられる。政策作りに励めば励むほど、地元を歩き回る「どぶ板」の時間は削られる。まだ選挙基盤の弱い若手議員は、常にジレンマを抱えている。

 自民では、伊吹文明や塩崎恭久ら多くのベテランが今期限りで退く。どれだけの3回生が荒波を乗り越えられるか。その勝敗には派閥だけではなく、党の浮沈がかかっている。(敬称略)

風頼み「チルドレン」

 政権交代可能な2大政党制を目指し、1996年衆院選から導入された小選挙区制は、「風頼み」の議員を大量に誕生させてきた。

 小泉内閣で迎えた2005年の「郵政選挙」では、自民で初当選した83人が「小泉チルドレン」と呼ばれた。当選者数にちなみ「83会」を結成。「料亭に早く行ってみたい」といった軽率な発言が批判を浴びた。民主党に政権交代した09年衆院選では、民主で新人143人が当選。多くは小沢一郎氏が選挙指南したことから、「小沢チルドレン」「小沢ガールズ」と呼ばれ、小沢氏の力の源泉となった。

 安倍晋三氏率いる自民が政権奪還した12年衆院選の初当選組119人は「安倍チルドレン」と称された。

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2219907 0 政治 2021/07/20 05:00:00 2021/09/09 10:00:52 2021/09/09 10:00:52 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210719-OYT1I50195-T.jpg?type=thumbnail

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