読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

「黒い雨」訴訟で国が上告断念…首相「速やかに救済すべき」

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 菅首相は26日、広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を巡る集団訴訟で、国の援護対象区域外にいた広島市などの住民ら84人の原告全員を被爆者と認めた広島高裁判決について、上告を断念する方針を表明した。原告の全面勝訴が確定する。政府は27日、上告見送り方針を明記した首相談話を閣議決定する見通しだ。

湯崎英彦・広島県知事(左)と松井一実・広島市長(同2人目)と面会する菅首相(同3人目)(26日午後、首相官邸で)=源幸正倫撮影
湯崎英彦・広島県知事(左)と松井一実・広島市長(同2人目)と面会する菅首相(同3人目)(26日午後、首相官邸で)=源幸正倫撮影

 政府は当初、上告を検討していたが、首相が政治判断で急きょ、見送りを決めた。首相は首相官邸で記者団に「84人の原告の皆さんは被爆者援護法に基づき、その理念に立ち返る中で救済すべきだと考えた」と述べ、原告全員に被爆者健康手帳を交付する方針を明言した。自らの判断の理由について「(原告の)多くの方が高齢者で、病気の方もおられるので、速やかに救済するべきだという考え方に至った」と説明した。

 首相は「同じような事情の方々も救済すべく、これから検討したい」とも語った。広島市によると、原爆投下直後、原告らと同様の区域にいた生存者は昨年時点で約1万3000人に上り、これらの人々も救済対象となる可能性がある。

 一方、首相は「政府として(高裁判決には)受け入れがたい部分もあるので、談話という形で整理したい」と強調した。

 国はこれまで黒い雨を浴びた人について、指定する特定の区域(援護区域)内にいて、がんなど11の疾病になった場合のみ特例的に「被爆者」と認め、医療費が無料になる被爆者健康手帳を交付してきた。

 広島高裁は今月14日の判決で「疾病の有無にかかわらず、黒い雨に遭った人は被爆者にあたる」と判断。原告84人への手帳交付を命じた昨年7月の1審・広島地裁判決を支持し、国から手帳の交付事務を任されている被告の県と市の控訴を棄却した。政府は高裁判決について、「科学的知見に基づいていない」と問題視し、県、市との協議で上告を要請していた。県と市は援護区域の拡大を求めてきた経緯があり、政府に上告断念を求めていた。

 原告弁護団は「菅首相の政治決断を歓迎する。原告らの40年以上にわたる活動に、やっと展望が開けたことを喜びたい」とのコメントを出した。

 ◆ 首相発言のポイント

 ▽84人の原告は被爆者援護法に基づき救済すべきで、上告は見送り

 ▽直ちに被爆者健康手帳を交付

 ▽原告に高齢者が多く、病気の人がいることを考慮

 ▽国、広島県、広島市が連携し、早急な救済を目指す

 ▽(高裁判決には)受け入れがたい部分もあり、談話で整理する

◆黒い雨= 1945年8月6日の原爆投下後に降った、放射性物質などを含んだ雨。原爆の火災で生じたすすなどを含んでいたため黒色になったとされる。2015年11月、国の援護区域外の住民らが被爆者健康手帳の交付を求めて広島地裁に集団提訴していた。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2236454 0 政治 2021/07/26 21:58:00 2021/07/27 01:26:22 2021/07/27 01:26:22 湯崎英彦・広島県知事(左)と松井一実・広島市長(同2人目)と面会する菅首相(同3人目)。右端は田村厚生労働相(26日午後5時3分、首相官邸で)=源幸正倫撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210726-OYT1I50190-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)