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「政権奪還時の緊張感が消失、自民の力量試される時」牧原出・東大教授…[政治の現場]決戦の足音<11>

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[政治の現場]決戦の足音をまとめて読むならこちら

 安倍内閣の時代から、外交と経済は戦略的に政策を展開する仕組みはあったが、内政は停滞していた。そこを新型コロナウイルスが直撃した。日本の統治機構の弱点をそのまま引き継いだ菅首相は、専門家の意見をくみ取る政治ができないまま、国民の心に響かない言葉で事態をやり過ごそうとしているように見える。

牧原出・東大教授
牧原出・東大教授

 経済でいう「経済財政諮問会議」のように、内政の司令塔として「内政諮問会議」を作り、首相と関係閣僚、民間の専門家らが参加することを考えるべきだ。現状の仕組みでは、誰が首相をやっても非常に難しい。

 今の首相官邸には、安倍政権のような強い「官邸官僚」のチームはない。小此木八郎・前国家公安委員長ら首相の側近も政府から去った。「官邸主導」と言われた官邸と自民党の権力バランスは変わってきた。党から首相への提言が目立っているのは、そのためだろう。ただ、自民の各議員は地元とつながり、内政情報を多く持っているという強みがある。こうした変化は望ましく、党の力量が試されている。

 自民党は、安倍内閣で国政選に連勝した結果、「負けるかもしれないから、まとまろう」という党を凝集する力が薄れてきている。2012年に政権を奪還した時は、「二度と野党になってはいけない」という緊張感がすごかったが、それが完全になくなっている。派閥間の対立が目立ち始めたのは、党が 弛緩しかん してきたからだ。

 新たな総裁候補が、菅首相の政権運営が厳しいとして手を挙げるには、政策形成力を見せないといけない。岸田文雄・前政調会長や石破茂・元幹事長がまた総裁選に挑むなら、どんなチームで政権を担うかという政権と政策の構想が必要だ。

 野党が、民主党が下野した12年以降バラバラなのは、安倍自民党の作戦勝ちといえる。勝てるタイミングで選挙を繰り返し、野党再生の芽を摘んだ。次期衆院選は、自民、公明両党が議席を減らしても、過半数を割ることはないだろう。だが、失政が続くと、来年の参院選が天王山になるのではないか。「衆参ねじれ」が生じるなどすると、その次の衆院選は分からなくなる。

 立憲民主党の最大の問題は、枝野代表ら執行部にある。枝野氏は、トップダウン型に見えた安倍内閣の影響を受けすぎ、そのレプリカのような幹部主導の党運営をしている。「ゼロコロナ」といった非現実的な政策を十分な党内議論を経ず、いきなり打ち出した。ボトムアップで政策が作れるようになり、チーム感が出てくれば、もっといい方向に変わるだろう。

 英国など政権交代が一定頻度で起きる国は、国民の多くが「最初から円滑に政権運営ができる」とは期待していない。だんだん良くなる、という目で見てくれる。だが、日本人は要求水準が高く、最初からきちっとやってほしいと考える。野党は、地道に政策を練り、どういう国の制度を作るか考えないといけない。

  東大教授 牧原出氏  専門は行政学・日本政治史。東北大教授などを経て2013年から現職。政治家へのインタビューや史料分析を重ね、官邸機能や戦後政治の研究に取り組む。著書に「崩れる政治を立て直す」(講談社現代新書)など。53歳。

(おわり)

 この連載は、海谷道隆、藤原健作、松下正和、工藤淳、中田征志、天野雄介、石井千絵、佐藤竜一、土居宏之、三歩一真希、伊賀幸太が担当しました。

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2240196 0 政治 2021/07/28 05:00:00 2021/09/09 11:11:50 2021/09/09 11:11:50 東京大学先端科学技術研究センター教授の牧原出さん(7月12日、東京都目黒区で)=米田育広撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210727-OYT1I50251-T-e1631153506489.jpg?type=thumbnail

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