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首相から「女性で」と電話、橋本聖子さんしかないと思った…森喜朗氏[語る]東京五輪・パラ

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 2月に東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長を辞任したのは、良かったと思っています。これは皮肉でもなんでもなく、あのままやっていたら、死んでいたかもと思うほど、極度につらい時でした。今もですが、人工透析をしていると結構大変です。血液の隅々まで入れ替えるので時間がかかるし、終わった後、極度に疲れる。がんの手術もしたので体もつらかった。

インタビューに応じる森喜朗元首相(8日、東京都港区で)=飯島啓太撮影
インタビューに応じる森喜朗元首相(8日、東京都港区で)=飯島啓太撮影

 そういうときに私の発言が問題となり、これ以上続けたら大変な迷惑をかける、オリンピックそのものが前に進まなくなると思い、辞めることにしました。

 辞めるので、後任の人選を考えました。大会まで時間がなく、すぐに決める必要がありました。スポーツ界が納得する人物として(元Jリーグチェアマンの)川淵三郎さんならと思いました。オリンピアンでもあります。本人と話をつけて、「ありがとう」と別れたら、誰にも話していないのに漏れていた。いつの間にか、バーッと広がり、菅首相にも伝わりました。首相から電話があり、「できたら趣が変わった人」という。「若い人」「それから女性」ということでした。もう橋本聖子さんしかないと思いました。

 橋本さんも受けるかどうか一晩悩んで苦労しました。橋本さんにはこう言いました。あなたは昭和39年(1964年)生まれ、お父さんが東京五輪開会式に感激して、聖子という名前をつけた。つまりはオリンピックの申し子だ。そのお父さんは去年亡くなられた。あなたは冬季、夏季計7回オリンピックに出たが、お父さんへの手向けに8回目に出なさい。組織委員会の会長として参加しなさいと。彼女は「わかりました」と言って涙を流した。それが最後の決め手でした。

 新型コロナウイルスの感染が拡大した時、「コロナに打ち勝ってオリンピックを成功させる」と、(当時の首相の)安倍さんは言いました。だから大会を1年延ばしました。あのとき、私は安倍さんと2人きりで会って、延期は「2年でどうですか」と言ったが、「それは駄目」と言われた。私も、1年あれば大丈夫だなと思いました。日本の科学技術を信頼しようと考えたからです。私自身は(肺がん治療で抗がん剤の)オプジーボを打って助かった。医師に聞くと、これで治った人は2割から3割ですねと言うが、日本のすばらしい医学・科学技術によって助けられた人間だから信頼したかった。

 その後も、いくつかヤマは来ました。私は、五輪をやれるならどんな条件でものむしかないと組織委の職員には言っていました。いくつかのシミュレーション(想定実験)をしていたので、無観客もありえると。結果としてそうなってしまった。でも、走り出したのだから、この「東京2020」号が無事に帰還できるように祈るしかないと思っています。

 この機会にオリンピックそのもののあり方も変えられるのでは。長く言われてできないことですが、IOC(国際オリンピック委員会)の改革もしていけるのではと思います。

 アスリートたちは私生活、私的なことは全て忘れて一心に取り組むような大変な決心を持ってこの世界に入ってきている。言葉にするのができないぐらいつらかったでしょう。だから立派だと思うのです。

 新型コロナ対策の規範はできています。その上で、五輪を目指してきた人たちに、諦めるなら諦める、あるいは良かった、次の飛躍にしようと考えられるような、最後の舞台を与える。本来4年に1回あるものを、お願いして1年延ばしました。そのために出場を逃した人もいる。それで、開催できなかったら、今までやってきた人たちのこれまでの人生が無駄になってしまう。そうしてはいけない。一人も観客がいなくてもやるべきことはやるのが日本の責任ですよ。

 今大会、各国選手はすばらしい活躍を見せ、日本の選手団のメダルラッシュなど、当初の想定以上の成果を上げています。パラリンピックにもさらなる感動を期待しています。

(聞き手 望月公一)

開催前 問題相次ぐ

 東京五輪の開催までには問題が相次いだ。

 新しい国立競技場(東京都新宿区)は、整備費の膨張により、外国人建築家による当初計画が2015年に白紙撤回され、建築家の隈研吾さんが新たに設計。大会エンブレムの盗用疑惑や招致を巡る贈賄疑惑などのほか、開幕直前にも開会式の楽曲制作者と演出担当者が過去の問題発言などで辞任や解任に追い込まれた。

 大会は、新型コロナウイルスの感染拡大で20年3月には1年延期を決定。最後の焦点だった観客は一部を除き「無観客」での開催となったが、来日した大会関係者の水際対策は不十分との指摘が出ている。

 大会組織委員会会長だった森喜朗氏は2月、日本オリンピック委員会(JOC)の会議で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言。女性 蔑視べっし 発言だと批判を浴び、引責辞任した。

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2253669 0 政治 2021/08/02 05:00:00 2021/08/02 05:00:00 2021/08/02 05:00:00 インタビューに応じる森喜朗元首相(8日、東京都港区で)=飯島啓太撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210801-OYT1I50129-T.jpg?type=thumbnail

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