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政府が導入した海外渡航者向けの新型コロナウイルスのワクチン接種証明書をめぐり、利用可能な国の数が伸び悩んでいる。外国人の新規入国を原則認めていない日本側の厳しい「水際対策」が、相手国の対応を硬化させているためだ。
13日現在、日本の接種証明書の利用を認めているのは、世界で16か国・地域にとどまる。日本政府観光局によると、新型コロナの世界的な感染拡大前の2018年の日本人の渡航先は、米国が約350万人と最多で、韓国、中国、台湾、タイと続いた。上位10か国・地域のうちで日本の接種証明書の利用を認めているのは、タイと香港、ドイツの3か国・地域だけだ。
海外では、フランスやインドネシアなど70超の国・地域が、接種証明書の提示による入国時の待機の免除や期間短縮、ウイルス検査免除などの優遇措置を設けている。
日本政府は、こうした国・地域を中心に、日本の証明書の利用を認めるよう交渉している。ただ、「日本側もワクチン接種者の入国を認めなければ、応じられない」と「相互主義」を主張し、日本の証明書の利用に難色を示す国も多いという。
政府は今後、ワクチン接種済みの入国者の制限緩和も検討したい考えだが、全国的に感染の拡大が続いていることから、「議論することすら難しい」(政府関係者)のが現状だ。
日本国内では、7月26日から全国の市区町村で証明書の申請を受け付け始めたが、需要との「ズレ」も生じている。
東京都品川区では8月12日までに、約1280件の接種証明書の申請があった。渡航予定先は米国や英国、フランスなど、日本の接種証明書を認めていない国も多いという。接種証明書は渡航先にかかわらず発行されるためだ。
多くは、将来的な利用に備えての申請とみられるが、外務省幹部は「使用目的の審査はしていないので、海外に行く予定がない人でも申請できてしまう面もある」と話している。